土地を買って建物を建てる場合、建物が建つまでは住所が無い状態が続きます。(更地には住居表示の末尾が存在しません)
建て替えでは古家と同じ住所(住居表示)を引き継ぐこともありますが、条件次第では住居表示が変わってしまうこともあります。
引っ越しなど諸手続きの関係で住所を早く知りたい!という方も多いですが、
今回は住所がいつ、どうやって、どのようなルールによって決められるのかについて解説していきます。
■不動産の場所を表す2つの番号
不動産の場所を表す番号には「住居表示(住所)」と「地番(所在)」の二つがあります。
住居表示は手紙や荷物を送る宛て所に使われたり、地図で場所を確認するのに日常的に使われていますよね。
一方で地番は、不動産の売買や固定資産税の管理など、公的な場面で使われていることが多いです。
住居表示制度が導入される1962年以前は、建物の場所を表すのに各土地固有の番号である地番が使われていました。
しかしこの地番は、土地の分割や合体(分筆と合筆)によって番号が変わったり新たに誕生したり消滅したりすることから、時が経つに従って非常に複雑な並びになり、場所を特定するのに分かりづらいという問題があったため、より簡易的で分かりやすい「住居表示」を宛て所として用いることになったのです。
住居表示は自治体ごとに一定のルールをもとに割り振られることになっており、同じ住居表示が複数存在することもあれば、都市部外では地番と住居表示が同一なことも多くあります。
そのため不動産売買においては、売買対象の物件を確実に特定するために、物件の所在を住居表示ではなく、唯一性のある地番と家屋番号で表すことになっています。
■住所はどうやって割り振られる?
住居表示の割り振りは各自治体のルールで決まっていますが、内容はほぼ同じで【街区符号】と【基礎番号】との組み合わせが住居表示になります。
ポイントは最後の基礎番号です。
基礎番号は街区の角を起点とし、街区を囲うように5~10m間隔で割り振られています。
そしてこの基礎番号の、何番の位置に玄関へ向かう敷地(経路)が属しているかで基礎番号、つまり住居表示の末尾が決まります。
基礎番号の割り振り間隔は5~10mあるため、一つの間隔内に建物が複数あると住居表示が同じになる場合もあるということです。
また、分譲地の開発により新たに私道を造った場合などには、~号のあとに更に枝番を割り振ったり、A,B,Cなどの号棟番号を付けることもあります。
■玄関の向きで住居表示が変わる?
前項の図を見てみると、角地に建っている〇番7号の建物は、建替えによって玄関が⑧番の方を向いて、玄関に向かうために出入りする道路が変われば、〇番8号に住所が変わる可能性があります。
また、敷地が基礎番号をまたいで建っている建物も同様に、玄関の位置が変わって該当する基礎番号が変われば、住所が変わる可能性があります。
※住居表示に空きがあればそのまま維持、ということもあるようです。
また玄関の向きが変わっても、玄関に向かうために出入りする道路が変わらなければ住居表示は変わらないことになります。
■住所が決まるのはいつ?
新築する建物の住居表示は、建物が竣工(完成)する1ヶ月ほど前までに判明することが多いです。
住居表示をもらうには、各自治体に建物の「新築届」を提出する必要があり、その2~3週間後に住居表示の決定通知が届き、これで正式に住居表示が決定となります。
「新築届」と言っても申請時点で建物工事が完了している必要はなく、建物の外壁や屋根等の基礎工事が完了し、道路から建物の玄関の位置が確認できる状態になれば新築届を出すことができます。
建物の規模などにもよりますが、この基礎工事の完了が竣工のだいたい2ヶ月前くらいになるので、計算をすると竣工の1ヶ月前くらいには住居表示が判明する、ということになるわけです。
なお、新築届けはハウスメーカーや工務店などが代理で提出してくれるため、施主がやることは特段ありません。
ワケあって早く新しい住居表示が知りたい!という方は、いつ頃に判明するかメーカーに聞いてみましょう。
■住所から地番を調べる方法?
地番は以下のような方法で調べることができます。
①管轄法務局の地番照会窓口に電話して住所を伝える。
②法務局の謄本の閲覧申請機で住所を入力する。
③登記情報提供サービスの地番検索サービスを利用する。(要会員登録)
④地域の図書館や法務局でブルーマップを閲覧する。
※ゼンリンの住宅地図上に青字で地番が書かれている地図。買うとウン万円。
また周辺一帯の地番を調べたい場合は、法務局で公図(地番の地図)を取得すれば、申請地周辺の地番と土地の大まかな形状を一気に確認することもできます。
■地番から住所を調べる方法?
地番から住所を調べには以下のような方法があります。
①ブルーマップを見る。
地番から住所を調べるにはこれが王道かと思います。
ゼンリンの住宅地図がベースなので、地番の他に住居表示も記載されています。
ただ、遠隔地の場合は該当地域のブルーマップを保管している場所まで気軽に行けないので難しいこともあります。
②市町村や都が管理している地番図を閲覧する。
自治体は固定資産税の課税管理のために地番図という公図に似た地図を作っています。
市町村窓口まで足を運ばないといけないこともありますが、インターネットで閲覧できるようにしている自治体もあります。
通常の地図ではないので分かりにくいこともありますが、だいたいの所在が分かれば地図と比べながら場所を特定することもできます。
③登記情報提供サービスで地道に調べる。
だいたいの土地勘がある場所なら、登記情報提供サービスの地番検索サービスを利用した方が早いこともあります。
地番検索サービスはあくまでも住所を入力して地番を調べるサービスですが、~丁目まで分かっていれば地図をスクロールして該当地を調べられないこともありません。
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