事故物件|何が告知事項に該当する?いつまで?価格への影響は?

ノウハウ・豆知識
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物件を探す多くの方が気にされるのが、事故物件かどうか。

基本的には募集図面の備考欄に「告知事項あり」などと記載されていますが、相場よりも安い物件だと不安になったりもしますよね。

告知事項は、買主や借主の判断に大きな影響を与えるため「心理的瑕疵」と呼ばれますが、
具体的に何が告知事項なのか?
告知の期限は発生から何年なのか?
告知事項に該当しないケースは何なのか?
告知事項があればどれだけ物件が安くなるのか?

などを解説します。

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■告知事項の定義と範囲

事故物件とは、対象不動産の室内や敷地内で自殺、他殺、孤独死(発見が遅れて腐乱してしまった)、重大な事件が発生した物件のことで、不動産業界では「告知物件」「告知事項」などと呼ばれることが多いです。(「事故」は響きが悪く、オーナーや売主に失礼です)

そのような物件の売買・賃貸取引においては、告知の内容によっては契約当事者の意思決定に大きな影響を与えることから、契約前にその内容を告知することが義務付けられています。

宅地建物取引業者は、人の死に関する事案が、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼ

すと考えられる場合には、これを告げなければならない。

宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

しかし自宅での死亡の9割が老衰などの自然死という統計からも、物件内での人の死について全て告知していては事故物件だらけになってしまうため、告知が必要ないケースを定めています。

・告知しなくても良いケース

下記のような場合は、借主や買主への告知義務がないものとされています。

①【賃貸借・売買取引】
取引の対象不動産で発生した自然死・病死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)。
※事案発覚からの経過期間の定めなし。

②【賃貸借・売買取引
取引の対象不動産の隣接住戸・日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した①以外の死・特殊清掃等が行われた①の死 。
※事案発覚からの経過期間の定めなし。

③【賃貸借取引】
取引の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した①以外の死・特殊清掃等が行われた①の死が発生し、事案発生(特殊清掃等が行われた場合は発覚)から概ね3年間が経過した後。

・一般的な自然死や事故死→告知義務なし
・マンションの隣接住戸や日常的に使用しない共用部(機械室など)などでの死亡→告知義務なし
・賃貸では日常的に使用する共用部での死亡も、発生から3年経過で告知義務なし

ということになります。

ただし、
①事件性、周知性、社会に与えた影響が特に高い
②相手の意思決定に大きな影響を及ぼすことが考えられる
③相手から事案の有無について質問された
上記のケースでは、例え告知義務がないケースでも告知する義務があります

■事故物件の価格はどれ位安くなる?

告知によって受ける心理的影響を測る術はないため、「事故物件であれば何割安くなる」などの一律な数字はありませんが、
賃貸でも売買でも、中央値で市場相場の7割程度になっていることが多いように思います。

もちろん遺体が発見されたタイミングや事件性の有無によっては、市場価格とあまり変わらないこともあれば、逆に5割6割安になっても売れないような物件もあります。

※心理的瑕疵に該当するかハッキリしないけど、買主・貸主のために念のため告知するということもあります。

いずれにしても、ほとんどの告知物件は市場価格よりも随分と安くなる傾向があるため、告知の内容に抵抗がなければお買い得とも言えます。

ただし、告知物件を購入する場合は売却時にも告知をする義務があるため注意が必要です。

■告知義務はいつまで続くか

事故物件を契約する際の告知義務の期間については長い間明確なガイドラインが設けられておらず、大家さん・借主・不動産会社にとって安心して取引ができる状況ではありませんでした。

しかし2021年10月、国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を発表したことで、賃貸住宅に関しては殺人・自殺・事故が発生してから概ね3年経過すれば告知をする義務がなくなりました。

ただし売買取引では心理的瑕疵による損害が多額になる可能性があることから、明確な期間は引き続き定めれていません。

つまり、時が経っても所有者が何度変わっても、知っている間はずっと告知義務があるということです。

所有者が一度変われば告知しなくてもよくなる」ということはないので、注意が必要です。

■告知内容の調査はどうやって行うか

一つひとつの取引ごとにニュース記事をチェックしたり、近隣住宅への聞き込みなどを行うことは難しいのが現実です。

そこで、貸主や売主、マンションの管理者などに告知義務の有無を確認すれば不動産業者の調査義務は果たせたとすることになっています。

■事故物件を売る方法

・一般向けの販売

遺体によって室内が汚れてしまっているときは、まず特殊清掃業者を入れ、消臭や除菌、遺品の処分をします。

浴槽などで発見された場合は浴室のリフォームや設備の交換など、売却する相手方が嫌悪感を感じないようにする必要があります。

遺産分割協議や相続登記など、やることは多く慌ただしくなるため、仲介業者に相談だけでも早めにして、全体のコーディネートをしてもらうことをお勧めします。

金額はやはり告知の内容によっては、市場価格の6~8割程度になる覚悟が必要です。

・不動産業者に買い取ってもらう

告知物件の買取、販売を得意とする業者に丸投げしてしまうというのも手です。

特殊清掃が必要な場合は放置することで建物が傷んでしまう可能性もあるためできるだけ早くに行う必要がありますが、それ以外のリフォームや瑕疵の責任など難しい話は全て免責で買い取ってくれることが多いです。

相談をしてから契約、引き渡し(現金化)までに要する時間も圧倒的に短いです。

ただし買取になるので、一般向け販売の価格より更に安く、市場価格の5割程度になることもあります。

手間をかけて一般販売するか、丸投げして手間と時間を買うかは、状況に合わせて考えたいところです。

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