親族間売買はハードルが高い

親の不動産を子供が買い取る
兄弟に家を売る
など、親族間売買の相談はよくあります。

他人に売るよりも融通が利いて簡単そうなイメージですが、実はその逆。

不動産売買で一番気を付けないといけないのは、この親族間売買だったりします。

親族間売買の壁

住宅ローンがほぼ使えない

実は親族間売買で住宅ローンを承認してくれる銀行はかなり限られます。

正確には、親子間売買であればまだ各メガバンクで取り扱えないこともないのですが、
・ちゃんとした仲介会社による査定と仲介（責任取らせられるように）
・市場に合った妥当な売買価格
・動機や経緯に妥当性が認められる（銀行の主観）
など条件があり、実際10回に8回は断られるような始末です。

親子間や兄弟間売買では、節税を目的にしたり、価格を不当に操作したり、実質的に財布を共にして何らかの金銭的便宜を図るなどの不正が行われやすいことから、銀行はそのような取引にリスクを負ってまで住宅ローンを融資したがりません。

また将来的な相続関係になる親子間よりも、兄弟間売買の方がより厳しい目で見られる傾向にあります。

現金一括であればもちろん売買可能ですが、数千万を現金で用意することができない方が大多数でしょう。

債務者への合意を取りづらい

売却する家に抵当権などが設定されている場合、現金一括で支払う場合を除いて、債権者の同意を得るのに時間を要する可能性があります。

親族間売買を成就させるために

プロによる査定と銀行との交渉

前述のように親族間売買では、不当に相場からズレた価格で取引される可能性があることから、融資や税金上のトラブルに繋がる危険性があります。

また結構多いのが、不動産会社に相談する前に最寄りの銀行などで親子間売買の相談を直接してしまっているケース。

よほど付き合いのある担当者でもない限り、門前払いです。

しかも往々にして「余計なこと」を言ってしまっていて、
そのあとに不動産会社が介入しても手遅れになっていることが多いです。

最初から知識と経験のある不動産会社に動いてもらうことを強くお勧めします。

分割払いという選択肢

不動産は必ずしも銀行からお金を借りて買うものではありません。

売買代金を”法定利息を付けた分割払い”にすることで融資の問題をクリアできる場合があります。

ただし不動産だけでなく税務の知識なども必要になってくるので、一度プロに相談することをオススメします。

親族間売買を取り扱うノンバンクで融資を受ける

一般的な銀行で融資を受けられなくてもノンバンクならば親族間売買に対応しているところがあります。

ただし金利設定は4％程度と、住宅ローンと比べるとかなり高くなっています。

契約内容の合意事項はしっかり明文化

親族間では良くも悪くも契約内容がうやむやで、口約束だけの取り決めが行われがちな傾向にあるため、他人への一般的な売買よりもトラブルが発生することが多いようです。

親族間だからこそ、取り決めや合意事項をきちんと整理し契約書へ反映させるなどの姿勢が大切です。

まとめ

番外編:バレない方法？

苗字が違う

通常、銀行は買主と売主の血縁関係までは確認しません。

そのため住所地も苗字も違うなど、書類上で親族だということが分からなければ、普通の売買のように最後まで行けてしまう可能性があるのは事実です。

ただし銀行を騙して不正に融資を受けていることになるので、バレた時点で全額返済を求められたり詐欺行為で訴えられたりと、相当大きなリスクを伴います。

また、それに関わった仲介業者なども今後の取引禁止はもちろん、訴訟などのリスクを負うので、そこまでして仲介してくれる業者はほぼいないと思います。

買い取り業者を間に挟む

不動産の買取業者が一旦買い取り、それを転売することで、売主と買主のつながりを見えなくしてしまうというテクニックもあります。

ただしこの場合、買取業者の利益と不動産取得税、契約不適合責任の負担の観点から、いくらか上乗せをした金額で買取をする必要があります。

また前項と同様に、親族関係にある売主と買主の橋渡しをしただけだとバレた場合のリスクもなくないため、積極的にやってくれる業者は多くないでしょう。

まとめ