不動産「購入」の失敗パターンと回避策

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この記事を読んでいる不動産購入前の皆さん、購入前であれば契約前に是非この記事をご一読ください。

「物件の内覧も済んで、条件も合いそうだからそろそろ契約かな」と思ったところで、実は法的条件やトラブルリスクを見落としていた、というケースは実務でも少なくありません。正直、不動産購入の失敗は「物件の見た目」よりも「法的条件やトラブルリスクの確認不足」が引き金になることの方が多いんです。

結論から言えば、確認すべき法的条件は大手不動産業者さんや丁寧な不動産業者さんならばほぼほぼ重要事項説明書に記載されています。ただし、重要事項説明書のクオリティは不動産会社によって千差万別。さらに記載されていることと、その意味を理解して判断できることは全く別の話です。「説明は受けたが、よく分からないまま署名してしまった」というようなことが無いようにこの記事では、契約前に見落としやすい確認項目と、購入後に問題が発覚した場合の対処法を先に確認しておきましょう。

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購入の失敗は「物件の見た目」より「法的条件やトラブルリスクの見落とし」で起きやすい

不動産購入で「失敗した」と感じるケースの多くは、建物の外観や間取りへの不満ではなく、購入前に確認しきれなかった法的条件が原因であることがほとんどです。

たとえば、接道条件を満たさず建て替えができない土地を購入してしまったり、用途地域の制限で想定していた使い方ができなかったりするケースがあります。(土地の場合、参考プランを作成している不動産会社さんがほとんどですが、この参考プラン通りに間取りが入らず、キャンセルトラブルになった事例、数年に一度位周りから聞きます。)こうした情報は重要事項説明書で説明される項目ですが、「自分の計画にどう影響するか」まで読み取れていないことが意外と多いのが実情です。

買主側としては、重要事項説明を「聞くだけの場」にせず、事前に自分でも調べておくことが最初の防御線になります。

契約前に見落としやすい確認項目

♦︎接道義務と道路の種別

建物を建てるには、原則として幅員4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接している必要があります(建築基準法第43条)。見た目には道路に面していても、それが建築基準法上の「道路」に該当しない通路だった——というケースは現実的にはありえます。接道条件を満たさない土地は「再建築不可」となり、将来の建て替えができないだけでなく、資産価値にも大きく響くため、ここは見落としがちですが影響が大きいポイントなんです。また私道であれば通行掘削を取っているのか、持ち分権者に変わった方がいないか等もポイントですね。

接道の細かい判定条件については接道間口が2mあっても建築できない?で詳しく取り上げています。

♦︎用途地域と建築制限

購入予定の土地がどの用途地域に指定されているかは、建てられる建物の種類や規模に直結する問題です。たとえば第一種低層住居専用地域では、店舗併用住宅にも面積制限がかかります。「将来カフェを併設したい」と考えていたのに用途地域上できなかった、という話は珍しくありません。

用途地域の情報は重要事項説明書に記載されますが、そこから「自分が何をできて何をできないか」を読み取るには、建ぺい率・容積率の制限まで含めた確認が必要です。自治体の都市計画情報や用途地域マップも事前に見ておくのも手です。

♦︎ハザードマップと災害リスク

2020年8月の宅地建物取引業法施行規則改正により、重要事項説明で水害ハザードマップ上の物件所在地を示すことが義務化されました。ただし、ハザードマップに載っていないリスク(土砂災害警戒区域の指定状況、液状化の可能性など)まですべて説明されるわけではありません。国土交通省のハザードマップポータルサイトや自治体の防災マップで、自分でも確認しておくところから始めるのが着実です。筆者個人が実務をやっていて感じるのはハザードマップよりも浸水履歴(周辺よりも低いか高いか)が大事かなと思っています。

♦︎権利関係と既存の負担

土地や建物に抵当権が残っていたり、借地権・地上権が絡んでいたりするケースもあります。共有持分の物件を購入する場合は、他の共有者との関係整理も見ておく必要があるでしょう。こうした情報は登記簿(登記事項証明書)で確認できますが、重要事項説明書の記載と突き合わせて読むことで見落としを減らせます(登記簿は法務局やオンラインで取得できます)。

重要事項説明書だけでは防ぎきれないケース

重要事項説明は宅地建物取引業法上の義務であり、宅地建物取引士が一定の項目を買主に説明しなければなりません。しかし、実務では「説明はあったが結果的に防げなかった」ケースも出てきます。

  • 説明は受けたが意味を理解できなかった:「接道」「セットバック」「容積率」といった専門用語の意味が分からないまま署名してしまうケースがあります。分からなければその場で質問してよいですし、持ち帰って調べる時間を取ったほうが良いです。
  • 容認事項の記載を読み飛ばした: 重要事項説明書の末尾にある「容認事項」には、騒音・日照・近隣の建築計画など物件固有のリスクが記載されていることがあるんです。ここを見落としてしまうと、あとから「聞いていない」とは主張しにくくなってしまいます。重説は良く聞いておく、これが鉄則です。
  • 現地でしか分からないリスク: 近隣環境、排水の実態、私道の通行慣行など、書面だけでは把握しきれない情報もあります。内覧時に周辺を歩いてみる、異なる時間帯に訪れるなどの確認も有効です。特に昼は全然だけど夜結構うるさいなんかはあるあるです。あとマンションは下の階の方、音問題はあるあるですので、契約前にどんな人かは不動産会社さんに聞いておきましょう。

正直、ここはややこしいところです。「説明を受けた=理解して同意した」と法的にみなされる可能性がある以上、疑問がある項目はその場で確認し、記録を残しておくことが自分を守る手段になります。

購入後に問題が見つかったときの対処法

確認を尽くしても、購入後に「契約時に想定していなかった不具合や制限」が見つかることはあります。その場合に検討するのが「契約不適合責任」です。

2020年4月施行の改正民法で、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」(民法第562条〜第572条)に改められました。引き渡された物件が契約内容に適合しない場合、買主には以下の請求が認められています。

  • 追完請求(修補や代替物の引渡し)
  • 代金減額請求
  • 損害賠償請求
  • 契約解除

ただし、使えるケースと使えないケースがあるため、以下の点は先に押さえておきましょう。

♦︎通知期限がある

買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知する必要があります(民法第566条)。この期限を過ぎると請求権を失う可能性があるため、問題に気づいたら早めに動くことが大切です。

♦︎売主が業者か個人かで扱いが変わる

売主が宅地建物取引業者の場合、引渡しから2年以上とする特約のみ有効とされています(宅地建物取引業法第40条)。つまり買主は一定期間守られます。一方で、売主が個人の場合は「契約不適合責任を負わない」とする免責特約を付けることも法律上は可能なんです。中古住宅の個人間売買では免責特約が付くケースも実務では珍しくないため、契約書の該当条項はよく確認しておきましょう。

手付金の扱いや契約解除の条件が気になる方は、手付金の後払いは違法?契約は無効になる?も参考にしてみてください。

まとめ

不動産購入の失敗は、物件の見た目や価格よりも「法的条件やトラブルリスクの確認不足」から起きやすい。これが実務での実感です。接道義務、用途地域、ハザードマップ、権利関係、周辺環境といった項目は重要事項説明書に記載されますが、記載されていることと、自分の判断材料にできていることは違います。

まずは、重要事項説明を受ける前に登記簿とハザードマップを自分で確認し、疑問点をリストアップしておきましょう。説明の場では分からない項目をそのままにせず、納得してから署名するところから始めるのが着実です。法的な判断に不安があれば、司法書士や弁護士への事前相談も検討してみてください。SmuUでは、「あとから知った」を一つでも減らすことが、購入の失敗を防ぐ一番の近道だと考えています。

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