建て替えできなかったり住宅ローンが利用できなかったりとデメリットが多い再建築不可物件ですが、
売られているということはそれ相応の価値があるということです。
今回は再建築不可物件のメリットと活用方法について解説していきます。
再建築不可の条件
・土地の接道幅が2m未満
・接道義務を果たしていない(物件周囲が公園や他人の敷地)
・接している道が建築基準法上の道路じゃない
などが主な再建築不可の条件です。
再建築不可の条件についてはこちらもご覧ください▼
このことをもとにメリットを解説していきます。
■メリット
・安く買える
一般的な不動産を業者に買い取ってもらう場合は、市場価値の約7割程度で取引されますが、
再建築不可の物件はさらに安い5~7割程度の価格で取引されることもあります。
一般的な銀行での住宅ローンが使えないので買主の条件はかなり限られますが、
キャッシュに余裕がある場合は不動産を安く買うことができる、これがメリットです。
・リフォームはできる
再建築不可の物件には古い建物が建っていることが多いです。
再建築不可というのは建築確認申請が取れないということなので、
躯体などの構造部分に触れないリフォームであればすることができます。
古家の再利用が流行っていますが、
大々的なリフォームをかけて住んだりシェアハウスにしたりといった目的なら、
安く買うことができる再建築不可物件はうってつけの選択肢になるかもしれません。
・税金が安い
再建築不可の物件は不動産の評価額が低いため、必然的に固定資産税や都市計画税、登記費用も安くなります。
・是正により資産価値増大の可能性
現状では再建築ができない土地でも、隣地の敷地の一部または全部を買わせてもらったり借りたり、43条の但し書きを取得することで、再建築ができるように改善される可能性があります。
※但し書き許可については以下の記事を参照▼
再建築ができるようになれば物件の価値は市場価値並みに高くなるわけですから、仮に相場の5割安で買えたなら価値はザっと2倍になります。
ただし再建築不可の物件を売却する前段階で、売主や仲介業者はまず周辺隣地への働きかけや交渉を行なったうえで販売していることがほとんどなので、是正のための交渉というのはそんなに簡単な話ではないということは念頭に入れておきたいです。
・価値が落ちない
前述の通り、再建築不可の土地の上には古い家が建っていることが多いです。
つまり建物は減価償却しきっているため、市場や周辺環境が変わらない限りこれ以上価値が下がることは考えづらいです。
不動産市況が変わらなければ、将来買ったときと同じ価格で売却できる可能性も十分にあります。
■活用方法の例
前述の通り再建築不可というのは、建築確認申請が通らないということなので、リフォームして建物をきれいにすることはできます。
・割安な分リフォームに費用をかけて自己居住
・コミュニティスペースなどの事業として利用
・シェアハウス化して賃貸運営
・隣地が再建築不可の場合、割安で購入して敷地を拡大
①離れを建築したい場合にも有効。
②将来の売却を検討している場合は、合筆・分筆することで売却金額が大きく伸びる可能性あり。
地域によってはこれ以上土地を小さくしてはいけないという最低敷地面積が設定されています。
仮に最低敷地面積が100㎡の地域で、自己敷地120㎡、隣地の再建築不可物件が80㎡だとすれば、購入により100㎡ずつの2分割が可能になります。
地域性や敷地の形状にもよりますが120㎡の敷地を売却するよりも、隣地を購入して100㎡ずつに2分割して売却する方が最終的な手取りが大きくなる可能性があります。
「隣地は借金してでも買え」と言われるのにはこういう背景もあります。
■売り方
①隣地に買ってもらう
前述の通り、隣地の人にとってみれば自分の資産を大きく増やせる可能性があるため、資金的に余裕があれば好条件で買ってもらえる可能性があります。
ただし逆に足元を見られることもあるので、交渉はプロに介入してもらう方が良いでしょう。
②バリューアップして事業用として販売する
シェアハウス化して賃貸運営をすることで、投資家向けに販売する道があります。
再建築不可でも賃料には影響しない一方、物件の価格は相場よりも大幅に安いことから、投資家が気にする利回りが劇的に高くなります。
投資ローンの観点からは積算が出ない=融資金額が伸びないという欠点はありますが、手が出しづらい価格帯にならなければ買い手は十分現れるでしょう。
③業者買取
再建築不可の物件を得意とする買取業者も多数あります。
自社で購入した後にバリューアップして転売することもあれば、賃貸にして収入を得ながら一般個人ではなかなかやりづらい周辺隣地との是正交渉などを年単位の時間をかけて行い、将来的に価値が上がったら売却するなどしているので、再建築不可でも需要があります。
まとめ
再建築不可の物件は住宅ローンが使えないなどの致命的な問題もあるため、一般個人の特に初めての不動産として購入するにはやはりハードルが高いと言えます。
しかし状況や使い方によっては価値が大きく化ける可能性もあり、投資家的な目で再建築不可物件を狙って買っている人がいるのも事実です。
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