先に売る?先に買う?買換えの手順

売る/買う
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住宅ローンが残っている自宅を買換えるとき、先に売るか先に買うかで計画がかなり大きく変わります。

それぞれのメリットとデメリット、買い先行の条件、具体的な流れについて解説していきます。

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それぞれのメリットとデメリット

買い先行

自宅がある状態で探せるのでじっくり気長に買換え先を探せる。

引っ越し後に空室状態で売却活動ができるため内覧のストレスがない。

引っ越しが一度で済む。

売却は市場やライバル物件の動向に左右されるので、全体の資金計画が不透明になる。

売却期限が決められるので、期限が迫れば値下げしてでも売る必要が出てくる。

購入と売却のタイミング次第では数ヵ月間ダブルローンになる可能性がある。

売り先行

売却にいくらでも時間がかけられるので高値での売却も狙える。

税金を含め全てを一度清算してから新たに物件を探し始めるので、資金計画の不透明さがなくなり、後でお金が足りないという事態にならない。

売却活動と並行して買換え先を探すと少し忙しくなる。

先に自宅を引き渡すので基本的にはしばらくの間賃貸への仮住まいが必要。
(引っ越しが二度発生する)

主に引っ越しの手間と費用が倍になることから、買い先行を希望される人が多い傾向にありますが、買い先行ができる条件は厳しくなります。

買い先行の条件と手順

住宅ローンが残っている状態でも、以下のような条件を満たせば自宅を売る前に買換え先を購入できる可能性があります。

1.自宅の売却により住宅ローンの残債が余裕をもって完済できる
(もしくはローンの残債が完済できる金額ですでに売却の契約を締結済み)

2.現在の年収、自己資金、見込み売却益を含めると買換え先の住宅ローンが借りられる(現住宅ローン残債は計算に入れない)

3.現在の住宅ローンの残債と買換え先の住宅ローンの合計額が、金融機関の住宅ローンの上限額以内
(メガバンクは上限2億円、地銀系は1億円になっていることが多い)

4.現自宅の残債と新規借り入れ額を単純に足しても返済比率に入る場合は1,2関係なく買い先行できる。(年収に対してかなり少額の借り入れをしている場合)
※ただし自宅の売却益と自己資金を足しても残債額を下回るときは完済不可なので売却できない。

買い先行の多くの場合は、買換え先の住宅ローンの承認条件として、
現自宅の売却は買換え先取得から半年以内
売却益の内~万円を新しく借りる住宅ローンに対して内入れする
という条件が付きます。

また、自宅の売却見込み額(査定額)については、銀行側のリスク管理の観点から、余裕を持った固めの数字で審査されます。

もし残債額が3,000万円で自宅の査定額が3,200万円だった場合、本当に売却で残債が帳消しにできるか微妙なため、不足分を補填するための自己資金を用意している必要も出てきます。

具体的な流れ

買い先行に関わるスケジュール管理や資金計画作成はとてもシビアなものになります。
最初から不動産仲介会社に相談をしてコーディネートしてもらうことをオススメします。

  1. 買換え先の予算感を確認
    不動産情報サイトなどから希望の広さやエリアをもとに買換え先の予算感を調べます。
  2. 自宅の査定
    自宅の査定をし、最低いくら位で売却ができそうか明らかにします。
    ローンの返済予定表も用意して売却により残債が完済できるか確認しておきましょう。
  3. 諸費用関係の算出
    銀行に買い先行の相談をするために、自宅の査定額、現在の残債額、購入諸費用、売却諸費用、現在の自己資金額などをもとに全体の資金計画を作成します。
  4. 銀行に相談
    全体の資金計画をもとに、買い先行の可否について銀行に相談します。
    この時点で事前審査をすることはあまりありませんが、銀行担当者からの口頭OKはもらいたいところです。
  5. 買換え先を探し、売買契約を締結
    買換え先の住宅ローン本審査時に、売却の媒介契約を結ぶ必要があることもあります。(売却意思の確認)
  6. 売却活動スタート~契約
    売却活動の開始時期は買換え先の引き渡し時期や、空室にしてから売却したいなどの売主事情によっても変わってきます。
    多くの場合はダブルローン期間を減らすために、買換え先に引っ越す半年から3カ月程度前から開始することが多いです。
    売却開始が早すぎると引き渡し時期が長くなりすぎて買い手が付きづらいですし、遅すぎると売却期限が迫ることによって有利な売却が難しくなる可能性があります。
  7. 売却利益の内入れ
    融資条件で売却益の内入れ条件が付いている場合は、その分を借入先金融機関に内入れします。
  8. 買換え完了

売り先行の手順

前述の買い先行ができない場合や、市場の動向的にまず売却を済ませてしばらく賃貸へ移りたいという場合は売り先行の手順を踏むことになります。

  1. 借入可能額と予算感を確認。
    買換えする理由にもよりますが、売却益と自己資金、新規ローンを合わせた予算内で希望の物件が出てくる見込みがなさそうなら、今売ること自体考え直しが必要かもしれません。
    借入可能額の計算では、自宅の売却で残債が完済できるのであれば自宅の残債額を考慮しなくても大丈夫です。
  2. 自宅の査定
    売却想定額とローン完済の可否を確認します。
  3. 売却活動スタート~契約
  4. 買換え先の検討
    銀行の判断と引き渡し時期までの長さにもよりますが、探し初めの時期は2パターンに分かれます。

    契約後すぐに探し始める。
    銀行への事前確認で、自宅の売却契約が締結されているなら、自宅引渡し前でも買換え先のローン審査を承認できるということになれば、売却の契約を締結した直後から買換え先を探し始めても問題ないかと思います。

    自宅の引渡し前に希望の買換え先が見つかった場合は契約することもできます。
    ただしこの場合、買換え先の融資実行は自宅の引き渡しと同時かそれ以降(自宅の残債がなくなったことを確認した後に新規融資)かつ、買換え先の売買契約は自宅の売却決済ができなかった場合に白紙にするという停止条件付の契約になります。

    後者の停止条件付の契約は売主にとってデメリットしかなく、自宅の引き渡し時期が先であればあるほど買換え先の引き渡し時期も先になることから、契約に応じてくれない可能性があることを念頭に置く必要があります。

    引き渡し目前、もしくは引き渡し後に探し始める。
    引き渡し後もしくは、おそらくもう解約になる可能性が低く、自宅の引き渡し目途が立った段階から買換え先を探し始めるパターンです。
    もし自宅引渡し前、すぐに希望の物件が見つかり停止条件付の契約を提案しても、契約が白紙になるかどうかすぐに白黒付くことから、契約に応じてくれる可能性が高まります。

    ①よりも動き出しが遅い分、仮住まいの期間は長くなるかもしれませんが、
    せっかく物件を見つけても契約してもらえず時間と労力が無駄になるということは避けられます。
  5. 賃貸への引っ越しと自宅引渡し
    運よく自宅の引き渡しと買換え先の引き渡しが同時にできるようになって、引き渡し猶予(残代金の支払いと所有権移転登記後でも1週間程度住まわせてほしいなどの特約)をもらえた場合を除き、引き渡しの為に賃貸へ引っ越しする必要があります。
  6. 買換え先へ引っ越して完了

まとめ

買換えによる売買は頻繁にありますが、そのプロセスと可否の判断は複雑で、専門知識と経験がない人が判断して動くのは危険です。

どのみち自宅の査定は必要になるので、仲介会社に買換え希望であることを相談して、全体の組み立てをしてもらうようにしましょう。

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