LGBTQ+・事実婚の住宅ローンと通常とは異なる相続対策

ノウハウ・豆知識
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多種多様な価値観が受け入れられるようになりつつあり、SDGsの広まりと共に性的少数派への社会的理解や協力体制も徐々に浸透してきている昨今。

同性婚が法的に認められない日本においては、パートナーシップ宣誓制度を導入する自治体が増え、社会活動上の福利厚生やサービスを法的夫婦と同様に受けられるようにしようとする動きもみられるようになりました。

この記事では

・事実婚カップルや同性カップルでペアローンを組むための条件
・ペアローン申し込み時の必要書類
・気を付けておきたい相続への対策

について解説していきます。

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■パートナーとのペアローン

未婚関係のパートナーでもペアローンを利用することは可能です

全ての金融機関で取り扱えるわけではありませんが、
例えば3メガバンクと呼ばれる三井住友銀行、みずほ銀行、UFJ銀行などは一早く同性カップルのペアローンに対応しましたし、
世間的な機運も手伝い取り扱い銀行は年々増えています。

ただし、本来のペアローンは夫婦や親子などの配偶者や血縁者を対象にしたローンだったということもあり、
法的観点からも通常より提出書類が多くなります。

それらは今日明日で用意できる書類ではないため、事前に準備をしておく必要があります。

・用意しておく書類

ペアローン申し込み時の必要書類は金融機関によって違いますが、以下書類を用意しておけば概ね網羅ができそうです。

①パートナーシップ証明書
パートナーシップ宣誓制度を取り入れている自治体にて発行。
居住自治体によって融資可否が分かれ不平等になってしまうこともあり、金融機関によっては証明書を不要としている場合もあります。
制度導入済みの自治体一覧はこちらをご参考ください↓
日本LGBTサポート協会 – パートナーシップ制度について –

②任意後見契約に係る公正証書
後述しますが、ペアローンを組む未婚関係の二人がお互いに万が一の事があった場合に、パートナーの財産管理を行うことができるようにするための公正証書です。
法定相続人になれるのは配偶者か血縁関係者のみですから、別途公正証書によって財産管理の権限を与えておく必要があるということです。

③任意後見契約に係る登記事項証明書
後見人として登記されていることを証明する書類で、最寄りの法務局で取得可能です。

④戸籍謄本
パートナーシップ証明書の発行、パートナー同士でのペアローン利用の前提要件は、お互いが未婚であることです。
もし配偶者が存在すれば、抵当権を設定する不動産が離婚などによって財産分与の対象になりえるので、銀行にとって不都合があるのです。

【補足】内縁(事実婚)の証明方法

同性パートナーであることの証明はパートナーシップ証明書でできますが、事実婚状態であることの証明にはいくつかの証拠が必要です。

例えば以下のような物が事実婚であることの証拠とされています。

・住民票上の続柄
同棲状態かつ世帯を分けておらず、続柄が「妻」や「夫」などどなっていることは、生計を共にした事実婚状態の強い裏付けです。

・賃貸借契約書の入居者欄
賃貸住宅に複数人で入居する場合、入居者の名前と契約名義人との続柄を記入するのが一般的です。
相手方の続柄として「内縁の妻」などと記載されていることも事実上の結婚生活を送っていることの裏付けと言えます。

・健康保険の扶養者になっている

・事実婚証明書、内縁関係証明書
民生委員によっては内縁関係を証明する書類を発行してくれる場合があります。

・結婚式の証明など
結婚式は法的な婚姻関係になくとも行うことができ、結婚式や披露宴を行ったという事は婚姻の意思を持っているという証拠になりえます。

ローンの利用に限らず法的な争いごとになった場合は、例えばメールやLINEのやり取りや、録音データ、第三者の証言なども、二人が内縁関係であることを裏付ける証拠として有力になるようです。

■事実婚・同性カップルの相続対策

実はパートナー証明書や公正証書などで二人の関係が証明され、無事にペアローンが組めたとしても、
法的な婚姻関係のない相手は法定相続人になれません

異性夫婦と同じように愛し合っていても、何も準備をしていないと、万一のときにパートナーに財産を残してあげられない可能性があるのです。

婚姻関係にないパートナーに財産を残す、有事の際に自分の資産の管理を託す、そのために準備しておきたいのが以下です。

・任意後見契約に係る公正証書

任意後見制度とは、本人が事故や認知症などにより意思無能力状態になったときに、本人の財産を本人に代わって管理する後見人を任意で指定できる制度の事です。

任意後見契約は、本人に意思能力がある状態公正証書によって行う必要があり、意思無能力状態になってからでは手遅れです。

前述のように、金融機関によってはペアローンを組む時点で任意後見契約の証明が必要ですし、
万が一の際にパートナーが財産を自由に管理できないという事態を避けるために準備をしておきたいところです。

なお、本人が死去すると任意後見契約は終了します。

・遺言と生前贈与

遺言(ゆいごん・いごん)を使えば遺産を相続させる相手を自由に指定できます。

親などの法定相続人がいる場合は遺留分請求によって100%本人の意思通りに相続できないこともありますが、
少なくとも財産の半分以上はパートナーに残すことができるでしょう。

なお正確には「相続」とは法定相続人への遺産の分配のことを言い、法定相続人外への相続は「遺贈(いぞう)」と言います。

また遺言書には作成ルールがあり、自筆証書遺言では無効になってしまうこともあるので、費用はかかりますが公正証書遺言によって残すことをお勧めします。

遺言書を用いない場合は、生前に財産を贈る生前贈与も一つの手です。

贈与時に贈与税は発生しますが、早めに生前贈与をしておけば遺留分などに侵されずに財産をパートナーに移すこともできます。

・他にも色々ある相続対策

上記二つ以外にも、
・生命保険の受取人をパートナーにする
・死因贈与契約を結ぶ
・財産管理の信託契約を結ぶ
などの方法でパートナーに財産を引き継ぐことができますが、
生命保険の非課税枠を利用できなかったり、契約に数十万円の費用が発生したり、税法上の特例が利用できなかったりと一長一短です。

保有している財産の額や種類(不動産・現金・有価証券)によっても有効な相続対策は変わってきますので、二人が元気なうちに話し合って対策しておくことが大切です。

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