自宅の査定を依頼したけど査定結果に納得いかない、というのはよくある話。
誰よりもその物件の良い部分を分かっていて思い入れもあればこそ、査定結果に納得をしてから売却をしたいですよね。
今回は物件種別ごとの査定方法について解説します。
これを読めばご自分でもある程度の目安を計算することができるようになります。
■マンションの査定法
マンションの査定では『取引事例比較法』という方法を用います。
①同じマンション内の過去の取引事例や販売中の物件の中から、近しい間取りの部屋の事例を集める。
②事例物件の平米単価を計算する。
※価格 ÷ 床面積
③広さ、階層、方位による補正を加えて査定物件の床面積を掛ける。
④リフォーム、グレードアップのオプション、眺望、プレミアム住戸などの付加価値を加える。
以上が査定の手順です。
■土地と一戸建ての査定法
一戸建ての査定は、建物部分と土地部分とに分けて査定し合計することで計算します。
●建物の査定
一般的な居住用の建物の査定では『再調達原価法(原価法)』という方法を用います。
これは同じ建物を新築する場合の建築費用(再調達価格)から、築年数の経過による減価分を差し引くことで現在の価値とする考え方です。
再調達価格は建物構造ごとの目安となる㎡単価を延床面積にかけることで求めます。
標準グレード | グレード2 | グレード3 | |
---|---|---|---|
木造 | 14.8万円/㎡ | 17.4万円/㎡ | 20.9万円/㎡ |
軽量鉄骨造 | 14.8万円/㎡ | 17.4万円/㎡ | 20.9万円/㎡ |
(重量)鉄骨造 | 15.6万円/㎡ | 18.3万円/㎡ | 22.0万円/㎡ |
RC(鉄筋コンクリート)造 | 18.8万円/㎡ | 20.9万円/㎡ | 25.1万円/㎡ |
SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造 | 18.8万円/㎡ | 20.9万円/㎡ | 25.1万円/㎡ |
耐用年数は税務処理で使用する法定耐用年数を用いることが多いです。
構造 | 法定耐用年数 |
---|---|
軽量鉄骨造(厚さ3mm以下) | 19年 |
木造 | 22年 |
軽量鉄骨造(厚さ3~4mm) | 27年 |
重量鉄骨造 | 34年 |
RC・SRC造 | 47年 |
①査定建物の床面積に上記の再調達㎡単価をかけて再調達価格を計算する。
②築年数と耐用年数から残存価値を計算する。
例:延床面積100㎡、木造、築15年、標準グレードの戸建では
残存価値=100㎡×14.8万円×(22-15)/22
=470万円 となります。
③残存価値に補正分を加減算する。
以上のような流れです。
計算式に当てはめたのみでは、築年数が耐用年数以上になった建物は評価がゼロになってしまいますが、実際には軽微な手直しのみでまだまだ十分に利用できることも多くあります。
単に計算式に当てはめて価値ゼロにするのではなく、リフォーム履歴の有無、実際のコンディション、間取りの需要レベル等による補正を必ず行います。
また、構造によって再調達単価が定められてはいるものの、例え同じ構造でもハウスメーカーによって実際の建築費用やグレード感が大きく異なることからも、査定の実務では規定の再調達原価に囚われずに、実際の仕様や建築メーカーを加味して再調達原価を調整するケースがほとんどです。
●土地の査定
土地の査定はマンションと同じく『取引事例比較法』を利用しますが、より考慮すべき要素が多く複雑になります。
①近隣地域の土地の取引事例と販売中の物件の中から、地型、規模感が近い物件をいくつか選出する。
②選出した物件の坪単価を計算する。
※価格 ÷ 坪数
③査定物件の坪数を掛けて金額を計算する。
④土地の面積、方位、道路幅員、地型、地勢(傾斜地,宅盤の高さ)、騒音有無などにより金額を加減算する。
以上のような流れになります。
方位と接道数による価値の補正についてはこちらの記事を参照▼
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