権利証(登記識別情報)を失くした!どうしたらいい?

トラブル
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権利証(=登記済証。または登記識別情報通知)は、その不動産の所有者の情報を記載した書類で、自分が所有者であることの一番分かりやすい証明書でもあります。

権利証は、不動産の所有者になったら登記を行った法務局から送られてくるものですが、いざ不動産を売ろうと思って書類を探してみたら権利証がない!という方も実は結構います。

昔のドラマなどで借金のカタに権利証を取られてしまうという描写があることもあり、権利証が無い=誰かに不動産を取られてしまう!と思う方もいるかもしれませんが、実際にはそこまで慌てなくても大丈夫です。

しかし権利証を失くしてしまうと後々面倒なことになることがあるのも事実で、早めの対応が望ましいでしょう。

この記事では権利証を失くしてしまった場合に、どんな問題が起き、どのような対応をしたらよいかについて解説します。

権利証(登記済証)と登記識別情報

※登記のデジタル化により2005年以降は権利証(登記済証)の代わりに「登記識別情報通知」が発行されるようになりましたが、本記事では聞きなじみがあるであろう「権利証」という書き方で統一します。

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■権利証のアレコレ

権利証はいつ必要になる?

権利証は不動産の所有者や権利関係が変更になるときに、所有者の本人確認のために使われます。

すなわち、
売却や贈与が発生した時、不動産を担保にお金を借りるとき(抵当権設定や抹消)などです。

権利証が本人確認に使われる理由は、
一般的に不動産の所有者は権利証を大切に保管していると思われるため、権利証を持っている=所有者の可能性が高い、という考えからです。

相続による所有者変更(相続登記)では、原則不要です。

ただし以下の場合は例外的に権利証が必要になります。
1.被相続人が亡くなったときの最終住所と実際に登記されている被相続人住所が異なっている場合。
2.遺言により不動産を遺贈(無償で他人に譲渡)する場合。

特に1については、引っ越しのたびに所有不動産に住所変更登記をするマメな人は多くないため多分にして起こり、故人の戸籍の附票などで住所のつながりを証明する必要が出てきます。

権利証を失くすと何がおこる?

結論、失くしただけではまず何も起こりません

所有者の変更登記を申請するためには権利証だけでなく、実印、印鑑証明書、顔写真付き身分証などによる本人確認が必要になるため、権利証を失くしただけで不動産の所有権まで奪われる可能性は極めて低いです。

ただし、仮にこれが誰かの手に渡ってしまっていた場合、登記申請に必要な材料が一つ渡ってしまうことになるので、地面師詐欺や不正登記などに巻き込まれる可能性は僅かながらでも高くなってしまいます。

また前述したとおり、将来の売買や贈与等の際に特別な手続きを行う必要が出てくるため、通常より時間もお金もかかることになるでしょう。

その手続きについては最後に紹介しています。

権利証の再発行は可能?

権利証や登記識別情報は、登記が完了した際に一度だけ発行されるもので、再発行できない書類です。

■権利証を失くした時の対応

失効手続きと盗難の届け出

権利証が盗まれてしまったり紛失して不安な場合は、登記所に対して登記識別情報の失効権利証の紛失の届出をすることもできます。

登記識別情報は失効させることで登記申請に必要な番号が無効になるため、その登記識別情報を使った登記申請はできなくなります。
もちろん失効させても所有者の権利に変わりはありません。

権利証(登記済証)の場合は、登記上に盗難等の届け出を出すことで、登記所が登記申請を受け付けた際に連絡が来るようになります。

ただしこれは登記を完全に防止することものではありません。

登記防止の申請も可能

権利証を失くしただけで”なりすまし名義人”による登記申請は簡単にはできませんが、空き巣被害などで権利証を始め登記申請に必要な印鑑証明、実印など全てを盗まれてしまった場合など、不正登記の差し迫った危険がある場合は、不正登記防止申出の制度を利用できます。

これは申出から3ヶ月以内に不正な登記がされることを防止するための制度で、必要により3ヶ月ごとに手続きをすることになります。

ただし、警察に被害届を出していることや、市区町村長などに印鑑証明書の発行停止や印鑑証明書の無効手続きをしていることなど、具体的なアクションをしている必要があります。

申出人本人の出頭が原則ですが、止むを得ない事情がある場合は代理人が出頭し申請することもできるので、管轄の法務局へまず相談するようにしましょう。

■権利証なしで登記申請する方法2選

紛失や盗難以外にも、火災などの災害により権利証を失うこともあるため、登記制度には権利証なしで登記をするための2つの代替措置が存在します。

事前通知の制度

これは登記を行う登記所から登記名義人(所有者)宛てに、本人限定受取郵便(事前通知)を送ることで所有者の本人確認を行う制度です。

登記名義人の住所地に宛てて「登記の申請があった旨」「申請の内容が真実であるときは2週間以内にその旨の申し出をすべき旨」の通知を送り、通知に従い2週間以内に申出を行うことで登記申請を進めることができるようになります。

本人確認情報の提供

司法書士等の資格者に登記を委任する場合は、その資格者が本人と面会し、所有者本人であることを確認した旨の書類(本人確認情報)を発行することで、権利証なしで登記申請を行うことができます。

また、公証人に依頼することで同様の書類を作成してもらうこともできます。

いずれにしてもその分の手数料がかかる可能性が高いことを覚えておきましょう。

1.紙の権利証の場合、失効連絡&司法書士会経由で会員へ通達(使わないようにしてもらう)

2.登記識別情報の失効手続き→再発見しても効力は失効して元には戻らない

■まとめ

①権利証を失くしてもそれだけでは何か起こる可能性は低い

②権利証の再発行はできない

③権利証無しでも登記申請は可能

④権利証は実印や印鑑証明等と分けて保管することが望ましい

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