土地や古家付き土地の売却はマンションの売却と比べると工程が多く、下準備に時間がかかる傾向にあります。
大まかな流れはマンション/戸建ての売却と同じなので、こちらの記事もご参考ください。
土地売却の流れを解説
【図】時間軸で大きな流れを理解しよう
以下が必要書類等も含めた売却の流れです。
物件や売主の状況により多少の変更がありますが、基本的にはこのフローチャートをベースにして、間に個別の要件を差し込んでいくことになります。
特に測量と隣地との覚書取得に関しては必要期間が予測できない部分なので注意が必要です。
項目別解説
査定
web一括査定や、地域の信用できる不動産会社さんに相談して、査定はもちろん、売却のスケジュールを確認しましょう。
web一括査定の注意事項はこちらの記事にも書いてあるのでぜひご一読ください。
媒介契約から売買契約まで
敷地が一般利用向けにしては大きな場合などは分割での売却も可能です。
分割(分筆といいます)をするためには、道路を含む全ての隣地との境界確定(確定測量)が必要なため、測量のタイミングは売却計画によって変わります。
測量、境界標の復旧
道路や隣地との境界確定がされていて確定測量図が渡せる状態であれば省略できますが、そうでない場合は測量士による確定測量が必要になります。
また、境界を明示する境界標(杭やプレート)の設置は売主の義務なので、無くなってしまっている場合は引渡しまでに測量士に依頼して設置する必要があります。
確定測量はスムーズに進めば1か月程度で終わることもありますが、道路所有者や隣地所有者の立ち合い、押印などが必要なるため、所有者が遠隔地に住んでいたり測量結果で協議が発生した場合は、なかなか予定通りに進まずに数ヵ月かかることもあります。
販売活動を開始する前から仲介会社と相談し入念に打ち合わせをしたい部分です。
各種覚書
隣地との境界上の塀や越境物(地上、地中、空中)などについては、将来のトラブル回避のために何かしらの覚書を取り交わして買主に引き継ぐ必要があります。
水道管などの地中越境や構造物の越境等は、買主の建築計画に大きく影響を及ぼす可能性があり、状況によっては物件の価値にも影響しかねません。
また、土地が持ち分のない私道に面している場合や、道路が細かく区切られて所有者が分かれている場合などは、道路の所有者から「通行掘削承諾書」をもらうことも大切になります。
通行掘削承諾がない場合、厳密にいうと通行や掘削(ガス管や水道管の工事)ができないことになるので、新築や建て替え工事に影響が出るなど、土地の価値や買主の意思決定にも大きく影響します。
引き渡しへの準備
・家屋解体、残置物等の撤去、建物の抹消登記(更地以外の場合)
買主は建物を建てるために土地を買うので、その妨げになるような既存の家屋や樹木、大きな石、倉庫、井戸など、建築の妨げになるようなものは撤去する必要があります。
建物内に家具などの残置物がある場合は解体費用が高額になります。
トラブル回避のために仲介会社と協議して事前に見積もりを取り、買主との協議時に提示できるように準備しておくことをオススメします。
また古い家では排水関係が公共下水ではなく浄化槽の場合もあり、解体時にプラスαの費用が発生することもあるので注意しましょう。
・抵当権の抹消
物件に抵当権が設定されている場合は、借入先の金融機関等と調整し、引き渡し時に抵当権を抹消できるよう手続きが必要です。
通常は仲介会社から登記手続きをする司法書士の斡旋をされるので、司法書士と金融機関が連絡を取れるように最初に取次が必要です。
抵当権の抹消手続きは通常2~3週間ほどかかることが多いため、タイミングとしては買主のローン審査が通過した後、引き渡しの2~3週間前までに行うようにしましょう。
おまけ:住所変更登記について
不動産の登記上の住所と実際の現住所が違う場合は、引渡しまでに住所変更登記を行う必要があります。
抵当権の抹消等と合わせて、数万円程度の手数料で司法書士に依頼してもいいですが、法務局にいく時間があれば自分で行うこともできます。
費用は不動産一つ(一筆)につき1,000円です。
住民票、戸籍の附票、登記事項証明書、収入印紙が必要で、申請から1~2週間程度時間がかかります。
時間がなかったり不安があるようであれば司法書士に依頼しましょう。
売主がやったことをまとめると
・媒介契約、売買契約
・測量や覚書の取り交わし
・古家の解体、残置物の撤去、家屋の滅失登記
・抵当権の抹消連絡
・(住所変更登記)
以上です。
特に測量に関しては隣地との協議が進まないなどで時間がどれだけ要するか読めない部分です。
依頼する仲介会社によっても進め方が変わる可能性があるため、スケジュール感などを密に打ち合わせしていきましょう。
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