3種類の測量と必要期間、費用について

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特に古い土地や戸建ての売却前には、測量が必要になる可能性が高いです。

測量を入れないと、売買代金の設定が正しく行えないだけでなく、登記されている面積と実際の面積が大きく変わって売却後にトラブルになる可能性もあります。

時間もお金もかかる測量の3つの種類と費用、注意点について解説します。

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■なぜ測量が必要なのか

登記簿面積=実際の面積とは限らない

新しい分譲地などでは現代の測量器具と技術で測量をして登記してあるため、登記簿面積≒実際の面積と言えますが、古い土地では昔の器具と技術で測量をして登記されていたり、境界があいまいな状況で登記されていることも多くあります。
(ロープや巻き尺で測量していた時代もあります)

登記簿面積で売買(公簿売買)して、建築時の測量で土地面積に大きな差が出てしまうと、買主が建てようと思っていた規模の建物が建てられない可能性があります。

また、そもそも適切な売買代金を査定することも難しくなります。

それでは困ってしまうため、売主の責任の一つとして、適切な測量が行われていない場合には測量をして売却することになっています。

土地を分割するには確定測量が必要

敷地を切り離して一部を売却したり、大きな土地を区割りする場合には、道路を含む全ての隣地との境界確定をする=確定測量をする必要があります。

相続などで敷地を分割するにも確定測量が必要なので、まだ終わっていないなら将来の為にやっておいて損はないかと思います。

■3種類の測量と費用

確定測量(官民測量)

前面公道(官所有)を含む全ての隣地(民所有)との境界確定をするのが確定測量です。

費用はおおむね50万円程度です。

役所の道路課などで敷地と道路との境界確定が終わっていることが確認できれば、後述の民民測量のみ行えば大丈夫です。

道路の管理者(役所など)と隣地所有者の立ち合いと、境界確認書への署名捺印してもらうことが必要不可欠のため、所有者単独で測量を完了することはできません

そのため、所有者とコンタクトを取るのに時間を有したり、境界位置の同意がなかなかもらえなかったりと、測量開始から完了までで数か月間以上かかることもあり、最悪のケースでは隣地が相続による遺産分割協議で揉めていた場合は、所有者が確定できずに測量がずっと進まない、なんてこともありえるので注意が必要です。

民民測量

前面道路が私道だったり、境界確定が済んでいる公道などの場合で、周辺隣地との境界確定が終わっていない場合は、民と民の間での測量を行います。

費用は隣地の数にもよりますが20~30万円程度です。

この測量も隣地所有者の承認がもらえないなどの理由で、測量完了に数か月間かかる可能性がありますが、一般的には官民測量よりは時間がかからないことが多いです。
(官が入ると時間がかかります…)

仮測量

売却活動前で境界標があるけど測量図がない場合や、だいたいの有効敷地面積と形状を測りたい場合には、既存の境界標や測量図を基に仮測量で土地の面積を測ることもあります。

特に古い土地では、登記されている土地面積と現況の土地面積が大きく違っている可能性があるため、販売活動前に仮測量など何かしらの測量を入れてから売買代金を決める必要があります。

仮測量だけを依頼する場合は10万円程度、その後の確定測量なども合わせて依頼する場合はもう少し安くなるかも?という感じです。

境界標の設置

境界杭、境界プレートが無くなっていて境界の明示ができない場合、道路との境界を除いて売主に復元・設置の義務があります。

確定測量がされていれば、データを基に復元することができますが、測量がされていない場合は官民か確定測量を行うことになります。

設置費用は一か所あたり2万円程度です。

測量と抱き合わせにならない場合は、人件費の関係で5万円程度になることもあります。

■もし境界確定ができなかったらどうするか

隣地所有者が境界確認書にサインをしてくれないなど、境界確定ができないケースもあります。

隣地所有者からすると、境界確定されることで自分の敷地が減少してしまう可能性がありますし、逆に敷地が大きくなったら固定資産税が増える可能性もあります。

単に所有者同士の仲が悪く、嫌がらせでサインしてくれないケースもありますが、境界確定に協力してくれない背景にはそのような理由もあります。

仲が良好であれば協力的になってくれる可能性も上がるので、日ごろからご近所さんとは仲良くしておきましょう。

境界確定ができなかった場合はどうするかというと、測量図を添付せずに謄本に書かれている通りの面積で公簿売買することになります。

なお、確定測量が完了できない以上、土地の分割は諦めるしかありません。

数年前までは隣地が確定測量に協力してくれない場合に、隣地との間に極細い未利用地(みりようち)という、どちらの所有物でもなく何にも使えない土地を設定することで確定測量を完了させ土地の分割が可能でしたが、近年では国土の有効活用の面からも、新規未利用地の設定を認めない自治体が増えてしまい、不動産業者にとって悩みの種になりました。

■測量しなくても良いケース

測量が済んでいる以外で測量しなくてもよいケースは大きく分けて2つあるかと思います。

①買取業者に買い取ってもらう場合

土地の大まかな面積や間口、形状の把握のために、最低でも仮測量は行ってもらうことが多いですが、基本的には測量を行わない公簿売買として、所有権移転後に買取業者の費用負担で確定測量や民民測量を行ってもらうことが多いです。

時間や費用などの関係で測量作業ができなかったり面倒な場合は、買取業者に丸投げして現金化するのも手かと思います。

②坪単価に対して測量費用が大きい

特に地価の低い地方の不動産に該当します。

通常、売買契約時点で測量が終わっていない土地の売買においては、測量によって売買対象面積が増減した場合に、引き渡し時にその分の精算金を授受する実測精算確定測量精算という形態の契約を結びますが、
土地の坪単価が安く、測量費用と精算金とが釣り合わない場合には、売主買主同意の元で公簿売買とすることもあります。

数万円の清算のために何十万円も支払うのは生産的ではないという考え方です。

■実務上の測量スケジュール

実務上の測量スケジュールは委任する仲介業者の方針によっても変わりますが、大きく分けると2パターンあります。

①売却活動前に確定測量か民民測量を終わらせる

大手仲介業者はこの方針をとっていることが多いです。

売買後のトラブルを避けたい大手企業では、隣地所有者との境界確定が取れない状態での一般向け売買を行わないことにしていることがあります。

測量費用は最終的な引き渡し時に受け取る物件代金によって測量会社に支払う事もできたりしますが、いずれにしても隣地所有者との境界確認書を取得できてから、もしくはできる見込みが立ってから売却活動を行うことになります。

②売却活動前に仮測量、引き渡しまで間に本測量

契約前に仮測量で大まかな面積を出して値付けし売却活動を開始し、買主への引き渡しまでの間に確定測量や民民測量を行うケースです。

この場合、測量によって生まれた面積の誤差分を決済時に精算する実測精算確定測量精算の契約形態をとることになり、もし期日までに測量作業が完了できない場合は契約を白紙解約にする特約を付けるのが一般的です。

■まとめ

測量にはお金と時間がかかります。

特に隣地の立ち合いが必要な測量では、時間がどれだけかかるのか予測できず、売却準備に数ヵ月から1年かかってしまう可能性もあります。

売却と測量の関係は媒介する不動産業者や売却形態にもよって変わりますが、売却するしないは別として、検討をするなら早めに動き出すことをお勧めします。

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