自主管理に注意|長期修繕計画書がないと住宅ローンが組めない?

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中古マンションを探しているとたまに出てくる「自主管理」マンション。

自主管理とは管理会社に管理を委託していないマンションのことで、日常清掃や会計等の管理業務を管理組合が自ら行うため、管理費が割安なことが多い一方で、適切な管理運営がなされていないケースが散見されます。

自主管理マンションだからダメ、というわけでは決してないですが、購入するには絶対に確認しないといけない点があります。

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■ローンが組めない?

タイトルを先に回収しておくと、原則としてマンションでは
期間20年以上の長期修繕計画がないと住宅ローンが組めないと思ってください。

管理会社に管理委託しているマンションでは、ほとんどの場合、長期修繕計画書を策定し、随時改定更新されていきます。

長期修繕計画は、築何年時にどの部分の補修にいくら必要で、その時点での修繕積立金の積立額がいくらで黒字なのか赤字なのか、赤字なら修繕積立金をいつからいくら値上げすべきか、もしくは借り入れをすべきか、など、会計知識が必要な複雑な運営計画です。

そのため管理会社に委託していない自主管理マンションでは策定していないことが少なくありません。

管理会社に管理を委託しているマンションでも、管理会社が変わって間もないときやマンションの状態によっては長期修繕計画を作成していないことが稀にあります。

自主管理じゃないから長期修繕計画書が当たり前にあると思い込んでいると、いざ購入すると決めたあとに落とし穴に落ちることもあります。

以下は長期修繕計画書の一例です。

築12年時に多額の出費が予定されている=大規模修繕が計画されていることが分かりますが、繰り越された修繕積立金が出費を上回っているためマイナスにはならない見込みだということが読み取れます。

長期修繕計画書の例

・なぜローンが組めないのか?

住宅ローンはその物件を担保に長期間で借りることがほとんどですので、資金を貸す銀行の立場からすると、
お金を貸している間は適切に維持管理をしてもらって資産価値を保ってくれないと、返済が滞った際に担保を実行し売却をしようと思っても、十分な値が付かずに債権を回収できない可能性が高まります。

長期修繕計画書がない=今後きちんと維持管理されるか不透明ということですので、そのような物件では銀行は住宅ローンを貸したがらないのです。

物件を紹介した仲介業者から長期修繕計画書がないことを聞いた場合は、どこかの銀行で借りられることを確認しているか聞いてみるとよいでしょう。

特に自社でマンションを買い取ってリノベーション・再販売しているような不動産業者の物件だと、売却見込みがたたない(住宅ローンが使えない)物件を買うことはしないので、買取る前に金融機関に相談して住宅ローンの”当たり”をつけていることも多いです。

■自主管理マンションで確認したいこと

・長期修繕計画書の有無

仲介業者の立場ではまず最初に確認をすることです。
前述のとおり住宅ローンを使うならほぼ必要不可欠です。

・積立額や積立計画は適切か

自主管理マンションでは修繕積立金の適切な積み立て計画が立てられず、何かが壊れたらその都度考えるというような行き当たりバッタリな財務状況になっていることも少なくありません。

共用部の最後の修繕から日が経っているにも関わらず、修繕積立金の値上げが行われておらず、積立額が心もとない額になっていることもあります。

そのようなマンションでは修繕が必要なタイミングで一戸あたり数十万円単位の一時金が徴収されるようなこともあるため、毎月の修繕積立金が低いからラッキー!と油断してしまうと危ないかもしれません。

・共用部の管理がしっかりしているか

共用部の日常清掃等を管理組合員による当番制で行っている場合もあり、組合がしっかりと機能していないと当然共用部は荒れていきます。

電球が切れたままだったり共用部が汚かったり雑草が伸びたまま放置されているマンションは、それだけでなんだか買う気がそがれませんか?

きちんとした管理というのは、住んでいて快適という以外に、将来の売却や賃貸も見据えたときの資産価値の保全の意味でも重要です。

・詳細な管理規約や使用細則

大手管理会社が管理するマンションと比べると、自主管理マンションでは管理規約の内容が曖昧になっていたり、使用細則がなかったりすることがあります。
例)ペットの飼育可否や頭数の制限、楽器の演奏の可否、リフォーム時の床材等級の指定が書いていないなど。

「禁止されていない=やっても良い」というワケでもなかったりするので、実際の生活を想定して疑問に思う点については購入前に確認するようにしましょう。

・総会資料

通常、管理組合はマンションの管理運営に関わる話し合いの場を定期的に設けており、修繕積立金等の値上げや共用部の修繕工事の意見の吸い上げ、問題提起などが行われており、その都度議事録を作成しています。

しかし特に自主管理マンションでは住人の管理への関心が薄いことも少なくなく、総会が機能していない、議事録を残していないということもあります。

議事録はマンションの現在の財務状況や今後の課題、問題解決の進捗などを把握するための重要なものの一つです。

議事録の確認の重要性は自主管理マンションに限った話ではありませんが、管理会社の介入がない自主管理マンションでは特に確認しておきたいものです。

■まとめ

  • 長期修繕計画書がないと住宅ローンを組むのが難しい。
  • 自主管理マンション=長期修繕計画がない、というわけではないが、可能性は高い。
    ※稀に管理委託しているマンションでもないことがある。
  • 自主管理でも管理組合がきっちりと管理運営しているマンションもあるので、一概に自主管理マンションがダメというわけではない。
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