立退料の相場ってどれくらい?算出方法と考え方

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相続の発生やオーナーチェンジ、建物の老朽化などで度々出てくる立退き交渉。

実際に経験をしたことがある人も少なくなく、立退き請求を受けた人から立退き料について相談を受けることもあります。

居住用物件の場合、貸主都合での立退きでは「家賃の半年分~1年分程度」くらいが立退き料の相場と言われることが多く、たしかに居住用物件ではその範囲に収まることも多いのですが、
立退料には明確な決まりが存在せず、算定の計算式に当てはめて正解が出るという性質のものでもないので、
個々の事情をもとに協議した結果、家賃の半年分よりも少なくなったり、逆に数百万円にもなったという事例もあります。

一概に「相場はこれくらいです」と提案することが難しい立退料の、指標となる計算式や考え方についてご紹介します。

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■そもそも立退料とは?

立退料とは、「正当事由を補完する金銭」とされています。

具体的な立退きの正当事由と判例はこちらの記事をご参照↓

「正当事由の補完」を噛み砕いて説明すると、

契約期間中に賃貸人(貸主)が賃借人(借主)に立ち退きを要求するには正当な理由が必要。
(道路の拡幅など公共事業による土地の収用も同様)

借主側に落ち度があるなど、貸主側の正当事由が100%認められるものであれば理論上は立退料が発生しないが、現実的には100%正当ということはほぼない。

仮に正当度合いが50%だとすると、正当性が認められない残り50%分については金銭を払うので立ち退いてください。

これが立退料で、正当事由の補完という意味です。

つまり立退料を算定する上でポイントになるのは、
正当性の度合い」と「%が掛けられる金額」が何かになります。

立退料はその金額が法的に明確に定められているわけではなく、あくまでも貸主と借主との合意や判例をもとに決まっていくものです。

仮に正当事由がなくとも退去費用を支払う代わりに退去することを双方が合意すれば立退きは成立しますし、正当な事由がないのであれば立退きを拒否し続けることもできます。(契約にもよります)

当事者間でどうしても合意形成ができない場合は、最終的に裁判により立退きの要否と立退料を決定することになります。

■立退料の算出方法

まず立退料は、計算式に当てはめてビタッ!と算出される性質のものではありません。

そのためここでは、目安や基本的な考え方になる立退料の算出方法と、個別要素として勘案される項目についてご紹介します。

・借家権価格に基づく算出方法

不動産鑑定や裁判で争う際の計算根拠として用いられる考え方です。

借家権価格 = 所有権の土地の更地価格 × 借地権割合 × 借家権割合

立退料 = 借家権価格 ×(100% ー 貸主側の正当性割合)

借地権割合は一般公開されている路線価図に記載されていますが、住宅街では6~7割程度が一般的です。
借家権割合はその家屋の評価額に占める借家権の価値の割合で、住宅地では3割商業地では4~5割とされることが多いようです。

【計算例】
①住宅街 ②土地の更地価格:2,000万円 ③貸主側の正当性割合80%

借家権価格=2,000×0.6×0.3=360万円
立退料=360万円×(100%ー80%)=72万円

しかし借家権価格を立退料の根拠とするのは、現実の商慣行を考えても適当ではないとする判例もあり、近年ではこれだけを立退料の根拠として採用することは少なくなっています

土地を借りて使用収益できる権利「借地権」は頻繁に売買され流動性もあることから、権利に価格を付けることが容易です。

一方で、建物を借りることができる権利「借家権」は売買されることがほとんどないため、その権利に価格を付けることが難しく、価格算定の根拠も曖昧になるため、立退料算定の根拠としては弱いという考えです。

・補償要件の合算による算出方法

引越しに必要な費用や損失、差額家賃等の、立退くことで被る不利益の合算額を立退料として補償する考え方で、現実的な立退料の算出はこの方法に基づくことがほとんどです。

居住用物件

・引越し費用(+雑費)
・引越し先賃貸を契約するための仲介手数料等の費用
・現家賃と引越し先家賃の差額(×数か月分)
・造作物、設備等の買取請求
・生活環境が変わることで被る社会的、地縁的被害への慰謝料
(通院している病院に通えなくなる、子供が転校をしないといけなくなるなど)
・家屋の買取請求(借地権の場合)
・話し合いの長期化を予防するための解決金

「立退料の相場は家賃の半年~1年程度」というのは、これからの項目を足した結果がその範囲に収まることが多いということです。

賃借人の状況、建物の利用状況、正当性の度合いによっては、立退料が低くなることもあればずっと高額になることもあります。

事業用物件

事務所や店舗など、その建物で営業活動をしている場合は前記に加え、

・移転に伴う休業期間の売上補填
・移転による顧客離れに伴う売上げ減少の補填(地縁要素)
・移転先の改装費用

等が加算項目として積み増しされることになります。

共住用・事業用いずれの場合でも、立退きの話し合いを進めるうえでは、それぞれの項目について根拠となる数字を提示することが大切と言えます。

■おまけ:立退料を受け取ったら確定申告が必要?

立退料を支払った貸主側は賃貸経営事業で発生した「損失」として経費計上をすることができますが、
実は立退料を受け取った側は「所得」として課税対象になるので確定申告をする必要があります

立退料は、その中身から次の3つの性格に区分され、それぞれその所得区分は次の通りとなります。

1 資産の消滅の対価補償としての性格のもの
家屋の明渡しによって消滅する権利の対価の額に相当する金額は、譲渡所得の収入金額となります。

2 収入金額または必要経費の補填としての性格のもの
立ち退きに伴って、その家屋で行っていた事業の休業等による収入金額または必要経費を補填する金額は、事業所得等の収入金額となります。

3 その他の性格のもの
上記1および2に該当する部分を除いた金額は、一時所得の収入金額となります。

国税庁:借家人が立退料をもらったとき

多額の立退料をもらったからと言ってボーナスが入った気分で散在してしまうと税金が払えなくなる、なんてことにはならないよう気を付けたいものです。

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