ご近所付き合いがないと言われる現代。
特に都市部の賃貸マンションなどでは、隣近所にどんな人が住んでいるか全く分からないということも珍しくありません。
引っ越しの挨拶をしない人は複数人入居者よりも単身者が多く、年齢層が若い方が挨拶をしない傾向があるようです。
賃貸、売買に関わらず、引っ越し挨拶をした方がよい理由を、不動産屋の経験談から解説します。
■挨拶をする人の割合は?
以下はSUUMOが実施したアンケートの結果です。
「新居」は引っ越し先での挨拶、「旧居」は退去の際の挨拶です。
引っ越し挨拶をしない人は複数人入居よりも単身者の方が多く、一人暮らし世帯では3割超の人が全く挨拶をしていないという結果になりました。
複数人入居世帯(ファミリー層など)ほど、ご近所さんとのお付き合いなどに気を遣っている傾向が伺えます。
■挨拶をするメリット
・トラブルが小さくて済む
一番大きなメリットはこれです。
賃貸や売買を仲介・管理する立場にいると痛感しますが、トラブルやクレームが発生したときに話が大きくなるか小さくて済むかは、人間関係によるところが非常に大きいのです。
例えば新しく引っ越して来たお隣から赤ちゃんの泣き声が聞こえて気になる人がいたとします。
その人からすると「うわ、お隣さん赤ちゃんいるのか。ついてないな。あー気になるな」とイライラを募らせているかもしれません。
しかし最初に「小さな子供がいるのでご迷惑をおかけするかもしれませんが、できるだけ静かに生活するように気を付けますので…」と一言丁寧に挨拶をされて人と”なり”を見ていれば、
「気になるけど、まぁ悪い人じゃなさそうだし、赤ちゃんが泣くのは仕方ないよな」となりやすいのが人情というものです。
これはあくまで一例ですが、日常生活で誰にでも起こりうるこのような小さなトラブルは、
最初の挨拶で一言二言交わし、生活スタイルを事前に伝えておくだけで穏便に解決に向かうことが多いのです。
隣人トラブルについて当の本人に面と向かって抗議できる人は少なく、
被害を受けたら同じ方法でやり返してやろうと思ってしまう人も多いでしょう。
それがまた隣人からの仕返しを呼び、雪だるま式に関係のない他の住戸まで巻き込んで大きなトラブルになっていくのです。
複数人入居の世帯ほど挨拶をしている割合が多いのは、
仕事中などの自分が対応できないタイミングで家族がトラブルに巻き込まれないようにするための自衛意識が高いことも理由の一つでしょう。
常日頃からご近所付き合いとして関りを持たずとも、
最初の挨拶一つだけで回避できる問題は多いので、
やはり挨拶をしておいて悪いことはないのではないでしょうか。
・遠い親戚より近くの他人
様子がおかしいことに一早く気づいて訪問をしてくれたり警察に相談してくれるのは、近くに住んでいる他人です。
隣人が気づいてくれたおかげで事件を解決できたり命が救われたという話は少なくないので、
どんな人がどんな生活スタイルで暮らしているかを何となくでも知っておいてもらうことは自分のためにもなります。
■手土産の必要性?予算?挨拶の範囲?
手土産は必ずしも用意しなくて大丈夫ですが、話のきっかけ作りや、より良く思ってもらうために手土産を用意する人は多いです。
人は何かを受け取るとその恩を無下にできないものです。
ご挨拶に持参する物の王道は地方にもよりますが、フェイスタオルなどは百貨店など多少良い物でも1,000円程で用意でき、いくつあっても困らない物なので人気が高いです。
引っ越しそばなどの食品も地方によっては王道ですが、アルコールが使われていたりアレルギーの原因物質が入っている可能性もあるため、
渡す際に「~が入っていますが大丈夫ですか?」と一言添える気配りは忘れないようにしましょう。
また挨拶の範囲は、生活音が伝わる可能性のある上下左右の隣接住戸に対して行えば十分と考える人が多く、
敷地内に大家さんが住んでいる場合は追加で大家さんにも挨拶しておくと、何かトラブルがあった時などにも相談しやすくなるでしょう。
■挨拶をしない方が良いケースも
女性の一人暮らしなどでは、防犯の観点から性別や素性を隣近所に知られない方が良いこともあります。
防犯意識が高い人では、居住階を知られないようにするために居住階以外の階でエレベータを下りたり、男性居住者と一緒にエレベーターに乗らない、カモフラージュで別の階のボタンも押しておく、ベランダに干す洗濯物に男性物の衣類を混ぜておくなどを日ごろから心がけている人もいます。
不動産屋に隣接住居者の属性を聞いたり、隣人の様子を伺ったりして、女性やファミリー世帯が住んでいることを確認してからご挨拶をするようにすると良いかもしれません。
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