契約までの間に済まさないといけない住宅ローンの事前審査。
結論からいうと、契約前の事前審査はネット銀行だけでは不十分です。
一般的な銀行を必ず使ってください。
ネット銀行の事前審査では不十分な理由
売主に安心して契約してもらうために、ちゃんと購入ができて後でローン解約になる可能性が低いということを示すためです。
さらにあえて付け加えるなら、ローンの審査過程で、売主や不動産会社すら気づいていない物件の法律面での違法性(登記の内容と実際が違うなど)が見つかることも稀にあるので、適法のお墨付きをもらうという意味もあるかもしれません。
契約前には必ず事前審査をしなければいけないと法律で決められているわけではないので、売主が審査しなくていいと言えばしなくてもいいですが、今までそんな売主には出会ったことがありません。
基本的に買主の好きな銀行で審査していいのですが、ネット銀行で通しただけだと契約してもらえないことがほとんどで、私が仲介をする場合も絶対にその状態では契約しません。
個人信用情報まで照会していない
ネット銀行にもよりますが、事前審査では個信まで調べられることが少ないようで、普通の銀行と比べて、本審査で否決や減額になる可能性が圧倒的に高いです。
=契約後にローン解約になるリスクが高いということなので、ネット銀行でしか事前審査が通らない買主とは契約したくないというのも頷けるでしょう。
普通の銀行だと事前審査が通らなかったけどネット銀行では通った。
喜んで契約したら本審査で否決されて契約が解除になった、という話はもはや”あるある”という状況だったため、現時点でほとんどの仲介会社ではネット銀行の事前審査をあてにしません。
驚異的な審査スピード
ネット銀行の事前審査経験者なら分かるかもしれませんが、早ければwebで申し込みをして30分ほどで「事前審査が終わりました」と通知が届いたりします。
単純に借入希望額、年齢、年収、自己資金等を計算式に入れて基準を満たせば通過通知、という自動システムになっていることもあるようで、さすがにそれほどのスピードだと仮に本当にちゃんとした審査をしていたとしても「大丈夫かな?」と思われます。
仲介会社が状況を聞ける窓口がない
通常の銀行での審査の場合、知識のある仲介業者が間に入ってローンを進めるため、実際の申込内容や審査過程の把握が可能なうえ、審査結果の肝心な部分のヒアリングもできます。
しかしネット銀行では電話窓口を設けていないところも多く、審査段階で各お客さんに担当者がつくこともなく、仲介会社が詳細を教えてもらうために掛け合っても「お客様にしかお伝え出来ません」と直接やり取りできないことがほとんどです。
決して買主のことを信用していないわけではないですが、どうしてもプロと一般の買主さんとでは知識差も経験差もあることから、契約という重要局面を前に買主さんが自分で行った審査について、100%信用して鵜呑みにするわけにもいかないのが実情なので、「ちゃんと窓口のある他の銀行でも事前審査を通してください」となってしまいます。
一般的な銀行は事前審査が通れば本審査もほぼ通る
一般の地銀や都市銀行の場合、事前審査に2~5営業日ほど要することがほとんどで、ちゃんと個人信用情報や物件の適法性などを照会して審査するので経験上、事前審査が通過すれば9割9分本審査も通過します。
本審査で落ちてしまうケースとしては、健康上の理由で団体信用生命保険に申し込みができなかった、審査から融資実行までの間に借入をしてしまったなどがありますが、そういうことがない限り本審査は通ります。
まとめ
・ネット銀行は金利の安さと来店不要という手軽さから人気が高まっていますが、審査結果の信頼性が低いのが現状。
・契約前の事前審査では、必ず一般的な銀行を利用すること。
・ネット銀行の事前審査はちゃんと審査されておらず、本審査で落ちる可能性がある。
・ネット銀行を使いたい場合は、都市銀行とネット銀行の審査を並行して進め、本審査が通過したらネット銀行を使うようにする。
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