20~39歳までの死因ランキング1位は自殺なんだそうです。
自死の割合は40~49歳では2位、
それ以上~64歳までずっと上位4位以内にランキングされているほど多いです。
※厚生労働省HPより
働き盛りで所帯のある世代でも毎年とても多くの方が自殺を選択している現状に、なんとも悲しくやるせない気持ちになりますが、
とんでもなく現実的な話として「残された住宅ローンはどうなる」という問題があります。
残された人が精神面だけじゃなく金銭的にも苦しんでしまうかもしれないこの問題について解説します。
■自殺で団体信用生命保険は適用される?
まず結論から言うと、多くの場合は住宅ローン借り入れから免責期間以上(1~3年が多い)経っていれば、団体信用生命保険の適用がされて残債が無くなります。(免責期間が設定されているので確認してください)
ただし、大きな注意点があります。
精神疾患などによる心神喪失、うつ病などが理由の自殺であれば、”自殺”ではないとされて免責期間内でも団信が適用になることがある一方で、
免責期間経過後でも、
・犯罪行為や重大な過失による自殺(違法薬物など)
・保険金目当てであると思われる自殺
・加入前の健康状態の告知義務違反
などの場合は、団体信用生命保険による支払いが認められず、
住宅ローンが残った家を相続させることになる可能性があります。
これは通常の生命保険にも言えることで、
加入世帯の収入に見合わない高額な保険金が掛けられていた場合なども保険金目当てとされて支払われないそうです。
■ローン付の不動産を相続することになった場合
団体信用生命保険が発動しなかった、もしくはそもそも団信に加入しておらず住宅ローンがまるまる残ってしまった場合にどうなるのか。
これにはいくつかパターンがあります。
残債を資産で一括返済
現金資産で完済できるようであれば、完済をして抵当権を抹消することで家を所有することが可能です。
団信とは別の生命保険に加入していた場合はこの方法が取れるかもしれません。
相続人による住宅ローンの引継ぎ(借り直し)
相続人に残債分を借りるだけの収入があれば、金融機関との打ち合わせで相続人による借り換えと登記の変更ができることもあります。
まずは金融機関に相談しましょう。
不動産業者などに売却
当分の返済原資はあるものの将来的に返済が滞ることが明確な場合は、返済原資があるうちに売却をして残債をなくすのが一番でしょう。
多少時間をかけられる余裕があるのであれば一般向けに売却活動をするのもいいですし、
早期に売却したい、引き渡し後に契約不適合責任を負いたくないなどの事情があるのであれば、不動産買取業者に買い取ってもらうのも手です。
業者買取になると一般売却より売却金額は下がりますが、圧倒的に素早く現金化することも可能なうえに、契約後の責任を免責にすることが容易です。
いずれにしても売却価格が残債額を超えていないと手出しが発生してしまうので、まずは金融機関や不動産仲介業者などに早めに相談をし、どのような選択が適切か判断するようにしましょう。
▼業者買取・契約不適合責任についてはこちらの記事をご覧ください▼
任意売却
ローンを完済する資産はなく、ローンの返済ができず延滞してしまった場合は、任意売却してそのお金で残債(全部もしくはその一部)を支払うということもあります。
ただし任意売却をするには、
・すでにローンの支払いを延滞していること。
・売却金額が残債額を下回る見込みの場合、延滞から6ヵ月程度で銀行に対して保証会社が代わりに返済する代位弁済後であること。
・不動産屋に相談、査定してもらって返済計画を提示すること。
・返済計画を受けて金融機関が同意すること。
・差し押さえなどが入っていないこと。
・共有者の同意があること。
・売却できるだけの価値があること。
などの条件があり、必ずできるわけではない点には注意が必要です。
任意売却が認められず物件が競売になると通常の売却や任意売却などよりも安くなってしまい、債権を回収しきれない可能性があることから、保証会社からしてもより多くの回収を見込める任意売却ができるならその方が良いこともあります。
相続放棄する
そもそも相続放棄をすれば家は失いますが、住宅ローンを引き継ぐこともありません。
また、前述の任意売却については、支払いを滞納しているという前提条件が必要なことから信用情報に傷が入り、概ね5年間はクレジットカードを作ったり各種分割払いができなくなったりとマイナスなこともあります。(携帯電話の機種代分割払いなどもできなくなります)
相続する資産と天秤にかけ相続放棄するのも一つの選択です。
ただし相続するor放棄するかの決定は
「相続開始を知ったときからから3ヵ月以内(熟慮期間という)」と決められているので注意が必要です。
■誰に相談すればよいか
実際に事が起こってしまったときに保険金が支払われるか相談すべき相手は、弁護士やFPと言ったお金の専門家です。
当然ですが保険会社はできれば保険金を支払いたくないのが本音です。
もし支払われるか不透明な状況であれば、理解のある専門家に相談することをオススメします。
保険会社が支払いを拒んでも、弁護士を通すことで支払ってもらえたという事例も数多くあるようです。
■まとめ
自殺は免責期間の他にもその理由や経緯により団信が適用される場合とされない場合があります。
もし住宅ローンが無くならなかった場合にはいくつか選択がありますが、相続の熟慮期間も考慮すると初動が大切です。
また、相続人が複数の場合はとても複雑になりうるので信頼できる不動産屋や弁護士などに相談することをお勧めします。
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