2022年フラット35大改正。金利引き下げルール変更、新商品スタートへ!

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2022年に入り、「フラット35」を提供している住宅金融支援機構は、脱炭素社会の実現を加速させることと、良質な不動産の流通を促進することを目的に、フラット35の金利引き下げルールの変更や、新基準・新商品を段階的にリリースしています。

改定後のルールの多くは厳しい(環境に配慮した)方向にシフトしますが、条件さえ満たせば従来よりもより多くの金利優遇が得られることになりそうです。

新築戸建てのビルダーはもちろんですが、リノベ再販事業の不動産業者なども、販売物件の高付加価値のためにより一層環境配慮型の商品を投入していく流れになりそうです。

改定内容を時系列でまとめました。

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■2022年4月~

【フラット35】維持保全型のスタート

維持保全・維持管理に配慮された住宅を取得する場合に、借入金利を当初一定期間下げる商品です。

下記の一定条件を満たした場合に、従来のフラット35の各種商品(通常のフラット35やフラット35Sなど)にプラスされる形で適用される商品です。
※【フラット35】リノベとは併用不可。かつ【フラット35】借換融資には利用不可

適用対象

下記いずれかに該当する住宅が対象です。

長期優良住宅(新築・中古)

予備認定マンション(新築マンション)
マンション管理センターが認定した、分譲時点で適切な管理計画を作成した新築マンション。

管理計画認定マンション(中古マンション)
マンションの管理計画が一定基準をクリアしていると認定されているマンション。

安心R住宅(中古)
・耐震性等の基礎的な品質を備えている
・リフォームを実施済み又はリフォーム提案が付いている
・点検記録等の保管状況について情報提供が行われる
など、国が定めた要件を満たすことを表示する仕組み。
詳細はこちら

インスペクション実施住宅(中古)
ただし劣化事象等がないことが条件。

既存住宅売買瑕疵保険付保住宅(中古)

金利引き下げ幅

適用商品金利引き下げ期間金利引き下げ幅
【フラット35】維持保全型当初5年間年0.25%
【フラット35】維持保全型と
【フラット35】S(金利A)併用
当初5年間
6年目から10年目まで
年0.5%
年0.25%
【フラット35】維持保全型と
【フラット35】S(金利B)併用
当初10年間年0.25%

【フラット35】地域連携型(子育て支援)の金利引下げ期間を拡大

住宅の購入が、住宅金融支援機構と連携している地方公共団体の子育て支援のための補助事業に該当する場合、フラット35の金利を一定期間引き下げるものです。

これまでは当初5年間、年0.25%引き下げでしたが、2022年4月1日からは当初10年間、年0.25%引き下げにグレードアップしました。

適用条件

子育て世帯の住宅購入・新婚世帯の住宅購入であり、地方公共団体から「フラット35地域連携型利用対象証明書」の交付を受けられることが条件です。

条件の詳細は各地方公共団体に確認してください。

なお、子育て支援ではなく「地域活性化」対象の事業に該当する場合に、5年0.25%の金利引き下げを利用することができます。

■2022年10月~

【フラット35】S(ZEH)のスタート

ZEH(ゼッチ)とは、net Zero Energy House(ゼロエネルギーハウス)の略で、家庭内で使用する電力などのエネルギーと、太陽光発電などの設備により自ら生み出すエネルギーとを同じにし、実質的なエネルギー消費をゼロ(以下)にする仕組みのこと。

ZEHを取り入れているハウスメーカーは多く、2014年4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」では「2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHを目指す」とされています。

ZEHやZEH-M(ゼッチマンション)等の基準に該当する住宅を建築・購入する場合に、借入金利を
当初5年間年0.5%、6年目から10年目まで年0.25%引き下げる商品が登場予定です。

詳細な該当要件は検討中のようですが、現時点では下記の基準を満たしていることが適合証明検査機関にて認められることが適用条件のようです。

フラット35S(ZEH)の適用条件について
引用:住宅支援機構発行の案内チラシ内抜粋

【フラット35】の金利引下げ方法が変更

商品によって一律に決められていた金利引き下げ幅と期間がより細分化され、「~ポイント以上は~年~%の引き下げ」というようになります。

具体的にはポイントグループを3つに分け、それぞれのグループ内で1項目ずつ選び、3つのグループで合計したポイントをもとに優遇内容を決めるというものです。

グループ①.住宅性能

  • 【フラット35】S(ZEH) ー3ポイント
  • 【フラット35】S(金利Aプラン) ー2ポイント
  • 【フラット35】S(金利Bプラン) ー1ポイント
  • 【フラット35】リノベ(金利Aプラン) ー4ポイント
  • 【フラット35】リノベ(金利Bプラン) ー2ポイント

グループ②.管理・修繕(フラット35 維持管理型)

  • 長期優良住宅 ー1ポイント
  • 予備認定マンション ー1ポイント
  • 管理計画認定マンション ー1ポイント
  • 安心R住宅 ー1ポイント
  • インスペクション実施住宅 ー1ポイント
  • 既存住宅売買瑕疵保険付保住宅 ー1ポイント

グループ③.エリア

【フラット35】地域連携型

  • 子育て支援 ー2ポイント
  • 地域活性化 ー1ポイント

【フラット35】地方移住支援型

  • 地方移住支援型 ー2ポイント
    ※この項目単独利用時は、獲得ポイントのルールによらず当初10年間年0.3%引き下げ

合計獲得ポイント引き下げ期間引き下げ金利
1ポイント当初5年間0.25%
2ポイント当初10年間0.25%
3ポイント当初5年間
6年目から10年目まで
0.50%
0.25%
4ポイント以上当初10年間0.50%

【フラット35】S等の基準の見直し

金利引き下げ幅の大きいフラット35S等の適用条件が見直されます。

・基準強化点

■省エネルギー性の基準(等級)を強化。

■中古住宅のフラット35S(金利Bプラン)のバリアフリー基準を強化。

・基準緩和点

■免震建築物をフラット35S(金利Bプラン)からフラット35S(金利Aプラン)の対象に変更。

■中古住宅のフラット35S(金利Aプラン)基準(省エネ性能を除く)を、新築住宅のフラット35S(金利Bプラン)の水準に変更。

フラット35S等の基準が変更されます
引用:住宅支援機構発行のパンフレットより抜粋

【フラット35】借換融資を利用する際、最長返済期間が延長(長期優良住宅)

これまでは他金融機関の商品からフラット35へ借り換える場合、「35年 - 現在の住宅ローンの経過期間」がフラット35での借入可能期間でしたが、住宅が長期優良住宅の場合は50年 - 現在の住宅ローンの経過期間」の期間まで借り入れできるようになります。

仮に住宅ローンを借りて15年目だとしても、フラット35で35年ローンとして借り換えることが可能になるということです。

ただし住宅ローンの完済年齢80歳は変更ないため、80歳を超える年齢までの借り入れはできません。

■2023年4月~

新築住宅における【フラット35】の省エネ技術基準を見直し

2023年4月~のフラット35の設計検査申請においては、全ての新築戸建てはフラット35Sの適用可否に関わらず、現行の「耐熱等性能等級2級」以上ではなく、「耐熱等性能等級4級」以上かつ「一次エネルギー消費量等級4級」以上が必要条件になる見込みです。

これは2025年度に義務化予定の省エネ基準と同じ基準です。

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