二つの道路が交差する角にある土地を角地と言いますが、実は角地が建ぺい率の角地緩和を受けるには3つの条件があります。
角地緩和を期待して購入したら角地緩和が使えないことが判明して計画変更を余儀なくされた、なんてことにならないように気を付けたいところです。
■角地と準角地
角地とは、二本の道路が交差している角、もしくはT字路の角に位置する土地のことを言い、準角地は一本の道路がL型に曲がった部分の内側に位置している土地の事を言います。
多くの場合はひとまとめに”角地”と呼ぶことが多いです。
どちらも角地緩和を利用することで建ぺい率を10%増やすことができるため、単一接道の土地よりも大きな建物が建てられるという魅力があり、開口部・採光面も増やしやすいため取引価格は高くなります。
▼接道の数と方位による土地の評価額の順位付けはこちらをご参考ください▼
■角地緩和の条件
しかし全ての角地・準角地で角地緩和が利用できるわけではありません。
角地緩和(地方自治体の定め)を適用できる条件は地方によって変わりますが、概ね以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
・2つの道路(法42条第2項の規定による道路で、同項の規定により道路境界線とみなされる線と道との間の当該敷地の部分を道路として築造しないものを除く。)が隅角120度未満で交わる角敷地(かつ、接道部分の長さが敷地の周長の1/3以上であること)
・幅員がそれぞれ8m以上の道路の間にある敷地で、道路境界線相互の間隔が35mを超えないもの
・公園等に接する敷地又はその前面道路の反対側に公園等がある敷地で、前記1及び2に掲げる敷地に準ずるもの
※公園等:公園、広場、河川などの空地
以上をまとめると、角地緩和が適用される敷地は下図のようになります。
そもそも用途地域ごとに建ぺい率を制限している理由は、街並みを保つためや、建物が近接し過ぎることで環境が悪化しないようにするためです。
そのため隣地が一定水準の道路や公園などの空地になっているなら、建ぺい率を10%上げても周囲への影響がないだろう、というのが角地緩和の根拠になる考え方です。
■隅切りと敷地面積に注意
隅切りとは、一定基準に満たない道路が交差する角地において、建築時に土地の角部分の規定範囲を道路状に整備して車両が通行しやすいようにすることで、都道府県の安全条例によって定めれています。
平たく言うと、狭い道路の交差点は車両が曲がりづらいので、角を落として曲がりやすくしてくださいという事です。
安全条例は都道府県や自治体が定めているため、「一定基準の道路」には地域差がありますが、東京都では以下のように定められています。
【隅切りが必要なケース】
交差する2つの道路の角度が120度未満で、道路幅員がどちらも6m未満のとき。
【隅切り範囲】
底辺の長さが2mの二等辺三角形になるように隅切りにする。
【建築面積への算入】
見た目は同じ隅切りでも、
新たに隅切りを設ける部分に関しては敷地の一部として建築面積に算入できるのに対し、
位置指定道路の角部分として作られた隅切り部分は道路の一部扱いなので建築面積には含めることはできません。
隅切りルールを図にすると以下のようになります。
セットバックと違い、隅切りによって道路状になった部分は建築面積への算入ができるので、100㎡の土地を買って隅切りしても、100㎡の土地として建ぺい率/容積率の計算をすることができます。
一方で分譲地に新設した位置指定道路などの角部分は、位置指定道路の一部扱いなので、建築面積に算入することはできません。
また、隅切りは車両の通行性を高めるのが目的のため、隅切り部分の所有権を持っていても隅切り部分にプランターや”いけず石”などの障害物を置くことは禁止されています。
悪質な場合では逮捕にまで至ったケースもあるため気を付けましょう。
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