「当社のみ取り扱い」「未公開物件」などという言葉を見聞きしますが、
そもそも未公開物件ってどんな物件??
それとなぜ公開しないのか?違法性はあるのか?
について解説していきます。
■未公開物件の種類
未公開物件を一言で言うと、REINSに掲載されていない物件です。
仲介業者は売却の依頼を受ける(媒介契約を結ぶ)と、REINSという不動産業者間の情報共有サイトに物件を掲載することが義務付けられています。
じゃあ、公開されていないってどういうこと?
それにはこんな理由が↓
●REINS未掲載の経緯
・掲載義務がない
一般媒介契約ではREINSへの掲載義務がないので、周囲に拡散したくないなどの売主都合も加味して未公開で売却活動をすることがあります。
これは合法です。
・両手仲介狙いの囲い込み(REINS規約違法)
専任や専属専任媒介契約ではREINSへの掲載義務がありますが、掲載していないこともよくあります。
そのくせ自社のストック顧客だけでの成約が難しい事や、問い合わせによる新規集客のために不動産情報サイトに広告を出していることも多いので、
同じ仲介業者からすると両手狙いで囲い込んでいることが一目瞭然です。
「両手で売れたらラッキー」と1,2ヵ月だけ未公開でやって、売れなさそうだと判断したら公開するということも多いです。
両手仲介についてはこちら▼
ちなみに囲い込み自体に違法性はありませんが、REINSへの登録義務違反で注意や罰金の対象になります。
・相続などの買取案件
相続や大型宅地、クセの強い物件、早期かつ確実な現金化が必須な案件などは、不動産業者への買取相談として媒介業者から情報が回ってきます。
こういう案件は非常に敏感で秘匿性が高いことも多く、また一般顧客では扱いきれないことが多いので、ツテのある業者間でのみ情報を共有し、買主になる業者を募ります。
多くの場合は専任や専属媒介など、REINSへの登録義務が発生する媒介契約を結んでいることがほとんどなので、厳密に言うとREINSの規約違反になりますが、
買取案件は市場の相場よりもずっと割安になっていることがほとんどなので、万が一REINSへ掲載しようものなら有象無象から問い合わせがあったり、勝手に現地に行かれたりして大トラブルの元にもなりえるので絶対に掲載しません。
また、入札に近い形になることからそもそも明確な価格が提示されない=広告のやりようがないこともあります。
・関連会社が所有している物件の販売
仲介部門と買取・開発部門が一つの会社内で分かれているのではなく、分社化されていることもよくあります。
その場合、買取会社が保有している(売主になる)物件を販売するときに、買取業者自身が売主として広告を出すのではなく、
仲介業の実績と売り上げのためにグループ内の仲介会社の媒介で販売することが多いです。
(税金面の調整ということもあります)
その際は、本来は売却活動をする前に媒介契約を結ばないといけないところ、
契約がまとまった段階で媒介契約を結ぶことがほとんどかと思います。
(同じグループ内なので約束が反故になることはありえませんし、契約書の作成や更新も面倒です)
仲介業者は媒介契約を結ばずに広告を行い、REINSへは登録せず、
自社だけの独自物件として顧客へ紹介します。
もし誰かが「REINSに載せてない!囲い込みだ!」と言っても「一般媒介なので違反していません」と言われればそれまでですし、もしも行政から「その証拠を出せ」と言われても日付を巻き戻した一般媒介契約書をいつでも作れるのでやはり問題になりません。
・媒介前の先行情報
正式に売却の依頼(媒介契約)をもらう前は、REINSへの登録はもちろん広告を打つこともできません。
しかし例えば、自社で住換え先を買っていただいたお客様の旧自宅が売りに出る、という算段が建っている場合は、
希望条件が近そうなお客さんに対して「まだ正式には決まってないけどこういう物件出てきますよ」と内緒でお知らせすることがあります。
また、不動産業者が仕入れて開発中の土地の詳細情報が手に入ったら、やはり表に出る前に先行してお客さんに紹介することはよくあります。
仲介業者の営業担当はまだ競合がいない状態の物件を紹介することで売り上げに繋がる可能性が高まりますし、買主もライバルに先んじて情報を知れて、売主も見込みよりも早く売却できて悪いことはない。
三方良しの関係と言えます。
●未公開物件=良い物件?
「未公開」「弊社だけの物件」「まだ内緒の案件」と聞くと、ちょっと魅力的に聞こえたりしませんか?
その効果を使って未公開状態で紹介してお客さんに興味を持ってもらうというのは確かに効果的だったりします。
また、一般的な仲介案件を未公開にする一番の目的は両手仲介のためですが、
これは物件に魅力があって、自社だけでも売れる可能性があると思っているからする行為でもあります。
そのため囲い込まれている物件は目を引く物が多いのも事実です。
相場よりもずいぶん高くて、なかなか売れないだろうなぁ。反響もないだろうなぁ。という物件であれば、さっさと公開して他の業者にも買主を探してもらう方がずっと成約になる確率が高まります。
また、広く公開されていない物件という事は、買主の立場では物件を奪い合うライバルが少ないということにもつながるので、未公開状態というメリットはいくらかあるでしょう。
しかし、未公開物件だからと言ってそれが必ず安くて良い物件かというと、そうではありません。
単なる未公開で特段良くない物件も山ほどあります。
言葉の魔力に左右されずに、フラットな目で見ることを心がけましょう。
■まとめ
未公開での販売にはそれぞれの経緯があり、必ずしも関係者に不利益をもたらすものではありません。
個人的にはREINSへの登録違反も、売主と買主の利益に繋がっているのであれば「まぁ誰も損してないならいいんじゃない?」と思ったりもしますが、
顧客の利益よりも自社の両手仲介による利益を優先した結果の未公開、というケースが大半で、売主さんの損に繋がる可能性があることが多いのが現状です。
業界の衰退にも繋がりかねないので残念ですが、両手仲介という仕組みがなくならない限り、両手狙いのための未公開はなくならないのでしょうね。
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