価格交渉はどれ位から始める?相場は?

ノウハウ・豆知識
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できれば安く買いたいというのは買主なら誰しも思うことです。

だけど価格交渉ってどれくらいが相場なのか分からない
売主に嫌われないように交渉するにはどうやればいいか分からない

という人は多いのではないでしょうか。

仲介業者の担当者と話し合って交渉のスタートラインを決めるべきですが、仲介業者に対して希望価格を伝えるうえでのポイントについて解説していきます。

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■根拠のない価格交渉は通らない

まず不動産の売買は、海外の露店でお土産を買うのとはワケが違います。

「ただ安く買いたいから」という理由で行う価格交渉は、売主からすれば当然気分のいいものではなく、ご破談になったり話がまとまらなくなる原因です

交渉をするのであれば、その金額の根拠と妥当性を用意してスタートラインと着地点を設定することが大切です。

■価格の何%という相場は存在しない

物件価格の何%くらいなら交渉しても大丈夫」というアドバイスをたまに見かけますが、
ハッキリ言ってそんなものはありません

売主の資産背景や売却後の計画は千差万別ですし、物件の販売期間、引き合いの状況、建物のコンディションもバラバラで、全てが一点物です。

そのような話を鵜呑みにした売主の事情や心境を考えない一方的な値下げ交渉は、売主だけでなく仲介会社の反感を買うことにも繋がります。

交渉は「相手がいる話」ということを念頭に入れて、売主さんの置かれている状況も考慮した上で、自分たちの条件を提案するのが鉄則です。

■仲介業者にとって交渉を頑張るメリットはある?

「売買価格が下がれば仲介手数料も下がるから、安く契約できるように交渉を頑張るメリットはない」

というのは多くの場合間違いです。

仮に物件価格が100万円安くなったことで仲介手数料がいくら安くなるかというと、たったの3万円です。

会社にもよりますが、売り上げが3万円下がることで担当者が受け取る歩合給がいくら下がるかというと、1万円にも満たない場合がほとんどです。

更にそこから所得税が引かれれば、手取りで数千円レベルです。

年間何件何十件も仲介をする営業マンからすると、目先の数千円数万円にこだわって契約に至らない可能性が上がるくらいなら、交渉を頑張って気持ちよく契約してもらうことで、紹介をもらえたり将来の売却時にも声をかけてもらえるような良い関係を築く方が何十倍もプラスです。

売上が上がらず生活に困窮している営業マンなら分かりませんが、経験が長かったり売れている営業ほど、目先の利益よりも目の前のお客さんに喜んでもらう事を大切にします。

【ケース別】交渉の根拠と金額

・端数切り

例えば4,980万円の物件の80万円部分を”端数”として交渉するというのは、妥当性こそないものの非常識な交渉金額ではないと認識されることが多いでしょう。

しかし、1億円の物件の80万円と1,000万円の物件の80万円とでは、同じ金額でも重さが全く違います。

1億円の物件では数百万円単位での交渉がまとまることもありますが、1,000万円の物件では数万円の交渉で難航することもあります。

価格帯に合わせて「端数切り」という考え方は変える必要があるかと思いますし、金額が大きくて麻痺しがちですが、冷静に考えるとそもそも80万円という金額も本来は端数と呼ぶにはあまりにも大きい金額だということは認識しておきましょう。

・引き渡し時期が長い

一般的な中古物件の場合、契約から1~3ヵ月後以内に引き渡しされることが圧倒的に多いです。

しかし売主の希望で引き渡しが契約から半年、一年後になるようであれば、引っ越しができないことにより発生する家賃相当分を根拠に価格交渉をしてみるのは妥当性があるでしょう。

仮に引き渡しが半年後を提示されているようであれば、一般的な引き渡し時期から伸びた3か月分の家賃(と更新料)分の交渉をしてみるのは、買主の立場では自然なことと言えます。

・売主の引き渡し条件に合わせる

例えば家具などの残置物の撤去が難しいためそのまま引き受けてほしい、金銭的事情からいついつまでに引き渡しをしたいから急いでほしい、契約不適合責任(瑕疵担保責任)を免責にしてほしいなど、売主の特段の都合に合わせることを条件にその分価格を勉強してもらうということもあります。

残置物の撤去であれば撤去費用と手間代が交渉金額になるでしょうし、売主から金額を提示されることもありますが、相場で測れない事情もあるため、自身の納得できる金額で提示してみましょう。

・生活に影響する部分の修理代

例えば給湯器やガスコンロが壊れている、雨漏りしている、壁紙の汚れが目立つ、畳がボロボロなど、「常識的に考えて最低でもこれは直さないと気持ちよく住めない」という部分に関して発生する修理代分を交渉するのは妥当性があります。

ただし、もともとフルリノベーションを予定している買主が「壁紙が汚いから安くしてください」と言うのはおかしな話になるので考えものです。

・予算(毎月の支払額)が若干オーバーしている

売主からすれば「それはそちらの都合でしょ」という話でもありますが、例えばお子様の教育費用の捻出のためにここまでしか出せない、けど長い間探してきて気に入った物件だから買いたい、というお願いベースの交渉も、理解のある売主なら「少しなら協力してあげたい」と思ってくれるかもしれません。

ファミリータイプの物件の売主は、買主よりも世代が上なことが多く、中には若い夫婦を応援したいという気持ちで交渉を受けてくれる優しい売主さんもいます。

そのためにというわけでは決してありませんが、内覧などで売主に会った時に悪い印象を与えないようにも気をつけたいところです。

・相場よりも高い

今の販売価格は売主の売却事情や気持ちが反映されています。
売れればラッキーという気持ちで様子見をしている場合もあります。

検討物件が周辺相場よりも高い価格設定ならば、仲介業者と相談して相場くらいまで価格が下がりそうか相談してみてください。

残債が多いなど、その金額で売れないと困る事情があれば価格交渉は難しいでしょうが、いいお客さんがいれば低めでも売っていいと思っていることもあります。

また、いくら相場よりも高い、他の物件はもっと安いと一方的に主張したところで、「だったらその他の物件を買えばいいでしょ」となることもあるので、売主さんの売却事情や温度感などを把握している仲介業者と相談をして「このくらいで提示してみましょう」というラインを見つけるようにしましょう。

・建築の障害がある

新築用の土地の売買の場合、古家が建っている、井戸がある、浄化槽がある、境界塀が傾いていて危ないなど、建物を建てるうえで撤去・修復すべき障害物があるときは、その分の費用を売主に負担してもらうという意味で交渉をすることはよくあります。

金銭的、時間的制約から障害物を売主の手で除去できないことも少なくなく、売買代金から工事費用を差し引いて現況のまま買主が引き受けたり、もしくは引き渡し後に売主の負担と責任で工事をしてもらうこともあります。(売主に手元資金がなくても引き渡し後であれば売買代金を受け取っているので工事代金を支払える)

■本気で欲しい物件じゃないなら交渉しない

たまに、申し込みもせずに「~万円だったら買うから聞いてみて」などと言われることがありますが、これは明確にナシです。
(しかも、ほとんどの場合そういうお客さんはその価格になったとしても買いません…)

価格交渉は売主にとっても仲介業者にとっても一番センシティブな話題で、気軽に行えるものではありません。(以下の記事もご参考ください▼)

「この価格であれば確実に契約になる」というゴールがなければ売主は返事ができませんし、仲介会社も真面目に動いてはくれません。

本気で欲しいと思っている物件以外で交渉はしないのと、交渉をするなら購入申込は必須です

■まとめ

・価格交渉は必ず根拠をセットにして行うようにしましょう。

・物件の状況、売主の事情によって交渉幅は全く違うため、価格の何%くらい、という相場は存在しません。

・売主の事情や感情を無視した一方的な主張では、まとまる話もまとまらなくなります。
仲介業者と相談し、現実的な落としどころを見つけて交渉するようにしましょう。

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