[決着をつける]マンションvs戸建て

売る/買う
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マンションにすべきか戸建てにすべきか。
家探しを始めて、まず最初にぶつかる問題ではないでしょうか。

マンションを選んだ人の意見では、
・共働きで家を空ける時間が長いため戸建てはセキュリティ面で不安がある。
・子供が小さいからコミュニティの目線がある方が安心。
・室内に階段がないから足の悪い親が泊まりに来ても大丈夫。
・将来売りやすそう。
・なんとなく。

戸建てを選んだ人の意見では、
・子供が走り回っても近隣の迷惑にならない。
・大型犬を飼ったり多頭飼いしたい。
・ガーデニングやバーベキューをしたい。
・管理費や駐車場代を払いたくない。
・建物が古くなっても土地代の価値が残る。(資産性)
・実家が戸建てだったから馴染みがある。

最初はマンション派だったけど考えが変わって戸建てを買ったりその逆だったりは、よくあります

ライフスタイルによって選べばいいのですが、
なんとなくで自分の希望を決めつけるのではなく、それぞれの特徴を押さえた上で判断してみませんか?

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■検証する観点

ランニングコスト

毎月の支払額

同じ額の住宅ローンを借り入れた場合、マンションはローンの返済以外にも管理費、修繕積立金、駐車場代などの支払いが毎月必要な分、戸建てよりも支払額は大きくなります。

毎月の総支払額を15万円として35年ローンの借入額を考えた時、管理費修繕積立金を毎月3万円、駐車場代を毎月2万円で計算をすると、
戸建てだと5,370万円マンションだと3,580万円の借り入れになり、その差は1,000万円以上になります。

マンションで希望の物件が見つからないときは、少し予算を伸ばして戸建てを見てみるのも手かもしれません。

固定資産税

築年数や立地にもよりますが、マンションの一室は敷地面積を世帯数で割って所有していることから、同じ延べ床面積のマンションと戸建てでは、固定資産税、都市計画税は戸建ての方が高いです。

一般的なファミリータイプの住宅であれば、その差は都心でも年間10万円ほどなので、月々1万円程度の差、と考えられるかもしれません。

修繕費用

マンションであれば共用部の修繕費用として修繕積立金が毎月徴収されているので、室内設備の故障に備える以外の積み立ては必要ありませんが、戸建ては10年に一度を目安に防水と外壁塗装をすることが推奨されています。(必須ではないですが、やれば家が長持ちします)

費用は建物の大きさや形状にもよりますが、防水と外壁塗装を合わせて80万円~100万円程度になることが多いです。

毎月1万円を積み立てておけば多少余裕をもって足りる計算です。

▼より具体的な戸建ての修繕費用についてはこちらの記事をご参考ください▼

火災保険

木造、RC造に関わらず、戸建ての方がマンションよりも保険料が高いです。
保険内容によりますが、10年の長期間加入する場合で差額は10万円程度かと思います。

上記の事から、固定資産税と10年後の修繕費用を考慮しても、維持費はトントンか戸建ての方が若干安いくらいかもしれません。
車を持っている場合は一気に戸建ての方が有利になります。

※2022年10月に保険期間10年の長期契約が廃止され、最長で5年になりました

セキュリティ(空き巣被害など)

警視庁のデータでは、場所別の侵入窃盗被害認知割合はマンションよりも戸建ての方が倍以上高いので、戸建てが狙われやすいのは事実のようですが、実際は何とも言えません。

一戸建てには、裏側に入られたら誰にも見られない、侵入経路が複数あるなどの弱点がありますが、
2階でもちゃんと施錠をすることはもちろん、裏口までの経路に音が出る防犯砂利を敷き詰めたり、セコムなどのセキュリティサービスに加入することで、泥棒はリスク回避のために別のもっと狙いやすい家に行くようです。

一方マンションはどうかと言うと、タワーマンションのように多重ロックでキーがないとエレベーターが動かせなかったり、24時間有人管理されているマンションはセキュリティ面で有利ですが、オートロック程度であれば誰でも簡単には入れてしまうので正直あまり意味がありません

ニュースにもなりましたが、宅配業者を装えばタワーマンションでも簡単には入れてしまいますし、一旦中に入ってしまえば怪しまれないという弱点もあります。

また、バルコニー経由で上下左右の住戸を簡単に行き来できてしまうため、蟹歩きで複数住戸が同時に被害に合うことも少なくないそうで、効率の良さからマンションばかり狙う空き巣もいるようです。

侵入窃盗の3件に1件は不施錠のよるものなので、戸建てでもマンションでも外出時には全ての出入り口を施錠することが大切です。

災害時の安全性

制震や免震マンションも増えてきていますが、木造一戸建ての耐震性能も飛躍的に向上しました。

大手ビルダーの建売やハウスメーカーによる建築では、最高の耐震等級を取得することがもはや標準になってきていて、特に地盤の液状化が問題になって以降は震災時でも耐えられるように地盤改良工事をよりしっかりと行うようになりました。

そのため現行の耐震性能のトレンドに則っている建物では、マンションでも戸建てでも震災時に”倒壊する”ことはほぼ無いと言われています。

ただし戸建ての場合は立地次第で水害による浸水被害を受ける可能性があるのと、
マンションでは震災時にエレベーターが止まって高層階の住民は長い階段の往復が必要になったり、電力や水道のインフラ設備が故障してしばらくまともな生活が送れなくなるなどのリスクがあります。

断熱性

RC造のマンションは気密性が高いことと、壁越しに隣の住戸の熱が伝わってくる電波熱の影響から、一般的にはマンションの方が暖かいと言われることが多いです。

木造の戸建ても断熱材やサッシの改良、全館空調の導入などで気密性は年々高まっていて、マンションとの差は小さくなっていますが、それでもまだマンションの方が断熱性能は高いです。

なお当然ですが、マンションでも戸建てでも陽当たりのない場所は寒いので、陽当たりのよい戸建てと直射日光がほぼないマンションでは、戸建ての方が暖かいことも全然ありえます。

逆にタワーマンションの中高層階で南向きの住戸などでは、いくら断熱性が高くても大きなサッシから日光がサンサンと降り注ぎ室内が灼熱に、なんてこともあります。

生活の自由度

これは戸建ての方が圧倒的に高いでしょう。

マンションにおいて、玄関扉やサッシ類、バルコニーは「共用部」なので、勝手に交換したり色を変えたりといったことはもちろん、管理規約によってはバルコニーに物を置いたり洗濯物を干すことが禁止されていることもあります。
また、お子様が騒ぐと騒音問題につながるので、気を遣って生活しないといけません。

その点戸建ては、敷地内と建物は全てあなたの所有物なので、迷惑行為や条例に抵触しなければ好きにカスタムできます。
ペットも自由に飼えますし、お子様が元気に走り回っても大丈夫です。

日常生活の便利さ

室内に階段がないことから、洗濯物などの家事同線、買い物帰りの同線はマンションの方が優れていることが多いと思います。

一階にリビングがあるなど家事同線が良い戸建てならばその限りではないのと、サーフィンやゴルフ、キャンプなどの趣味がある人にとっては、トランクルームなどを経由しないといけないマンションよりも戸建ての方が圧倒的に便利でしょう。

ちなみにマンションの中高層階に住む場合は、部屋の玄関からマンションのエントランスまでに5分以上かかるほどエレベーター待ちがあったりするので、
これはもうほんとに良し悪しです。

立地

駅から近い立地の土地は容積率が高いことが多いため、マンションや商業施設が多く、戸建て用地は限られていると思います。

そのため必然的にマンションの方が駅近を狙いやすい傾向にあります。

ただし本当に駅からすぐ近くの良い立地は、既に何十年も前からマンションが建っているため、少し離れないと新しいマンションが建っていないという地域も多いです。

築年数より何より駅近だ!という人にはマンション派が多い気がします。

相続税

固定資産税の差に見られるように、マンションは土地の所有割合が低いため必然的に評価額が戸建てよりも低くなり、相続した際の相続税も安くなります。

そのため仮に同じ市場価値のある土地と戸建てならば、評価額の低いマンションの方が相続対策としては優秀と言えるでしょう。

また、上に長く世帯数が多いタワーマンションならば、土地の所有割合がもっともっと小さくなるため、より相続対策に向いています。(タワマン節税が一時流行りましたよね)

実際に住まないにも関わらず節税目的でタワマンを購入する人が多くなったことから、2017年の法改正によって階層があがるごとに固定資産税が高くなるようになりました。

ただし現時点では相続税評価額の上昇には至っていないので、まだタワマン節税は有効との見方が強いです。タワマン節税の将来は分かりませんが、いずれにしても戸建てよりマンションの方が節税効果が高いのは間違いないでしょう。

売りやすさ貸しやすさ

たまに「マンションの方が売りやすいですか?」「貸しやすいですか?」と聞かれることがあります。

これには立地や地域性が大きく関わるので一律な答えはありませんが、
一つだけ言えるとしたら、
立地と価格次第」です。
マンションだから売りやすい、戸建てだから売りづらいという考えは基本的にありません。

これまでに書いた通り、マンションにも戸建てにもそれぞれの良さがあり、車の有無なども含めて買主、借主の好みはバラバラです。

インターナショナルスクールの近くなど外国人の多い地域ではマンションよりも戸建ての方が人気が高かったりしますし、外資系企業の役員社宅などは戸建てが多いです。

また、戸数の関係から賃貸市場では戸建ての募集が圧倒的に少なく貴重です。

適正価格であればどんな物件でもちゃんと売れるし貸せ、立地が良ければなお簡単に動かせる。

というのが答えです。

資産性

長く住むことを考えた場合、建物が減価償却しきっても土地分の価値は保証されている戸建ての方が、資産性が高いと言えます。

マンションの市場価値は共用設備や管理状況によっても変わるため、単純に建物が古くて土地の持ち分が少ないからといって将来的に二束三文になるというわけではありませんが、古くなれば建て替えの話が出てきますし、あまりにも古くなると買い手が付きづらくなることもあるので、基本的には将来的に売却することを前提に買う方が多いです。

その点戸建ては、途中で建て替えはあったとしてもその気になれば子々孫々と受け継いでいける物で、場合によっては隣地が売りに出た時に買い広げることも可能です。

何をもって”資産性”とするかにもよりますが、長く住むなら一戸建ての方が資産性が高いように思います。

■まとめ

・検証せずにどちらかに固定してしまわない方がいい。

・月々返済額から借入額を計算すると、マンションと戸建てで約1,000万円の差が出る。

・相続前提ならマンションが強いか。

・家としての性能の差はなくなってきている。

・売りやすさ、貸しやすさに大差はない。(地域性もある)

・結局は好みでした。

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