接道間口が2mあっても建築できない?

ノウハウ・豆知識
この記事は約4分で読めます。

これ実際に体験している人が少ないからか、なぜか書かれていることがほぼ無いないんですよね。

「接道間口が2m以上ない土地は再建築できない」というのは広く知られていますが、建築基準法の道路に間口2m以上接道していても建築が認められないことがあることはご存じでしょうか?

建築の可否は土地探しにおいて最もクリティカル。

間違っても買った土地が希望の建物を建てられない土地だった、なんてことにならないように、建築が認められないケースをご紹介します。

スポンサーリンク

■2m以上接道していても建築が認められないケース

・通路部分に塀があって実際の有効幅が2mない

旗型地の通路部分にお隣との境界塀が立っている場合は要注意。

接道義務2mの正しい解釈は、「幅2mの物を宅地部分まで通せないといけないです。

そもそもなんのための接道義務かというと、火災などが起こった場合の消火活動や人命救助の観点から、幅が2mないと緊急車両が入れなかったり必要な活動ができないという安全上の理由です。

そのため測量図上の接道が2mあっても、実際に人が通る部分の幅が2mないと、安全上の理由から建築が認められない可能性があります。(筆者実績)

建物の用途や現場の状況、審査をする特定行政庁や審査課によっても判断が分かれる可能性があるので、疑わしい物件を検討する場合は、必ず窓口で事前相談をするようにしましょう。

接道が2mでも、通路の有効幅が2m未満だと再建築不可です
再建築不可の例:有効幅が2m未満

・通路部分の一部の幅が2mない

接道部分は2mあっても建築部分までの間に幅が2m未満の部分がある場合も、前述の安全上の観点から再建築ができません。

「幅2mの物を家まで運べないとダメ」です。

通路の一部が2m未満だと再建築不可です
再建築不可の例:敷地の一部の幅が2m未満

・通路部分の距離が長い(地域性)

例えば東京都の場合、旗型地の通路部分の長さが20m超のとき接道義務が3m以上になります。

埼玉では10m以上で接道2.5m以上など、地域の条例によって違う定めになっていますが、
基本的には建築基準法よりも厳しくなっています。

大きな土地を区割りして販売したり、坪数調整のために区割り変更して購入する場合には、地域の条例に抵触しないか注意が必要です。

東京都では通路部分の長さが20m超のときは接道義務が3m以上になります
再建築不可の例:東京都では通路長さ20m超で接道間口の義務が3m以上になる

・共同住宅などの特殊建築物を建てる

特殊建築物に分類される建物(共同住宅など)は、自治体の条例により接道義務が変わります

建築基準法では接道間口が2m以上あれば建物の建築ができますが、これに上乗せで条例による制限がかかるイメージです。

これも特殊建築物では人の避難や救助活動の規模が大きくなることに起因します。

東京都の条例では、特殊建築物に該当する建物では以下のようになっています。

建物の延べ床面積接道間口の義務
500㎡以下4m以上
500㎡を超え1,000㎡以下6m以上
1,000㎡を超え2,000㎡以下8m以上
2,000㎡超10m以上
建築物の規模と接道間口の関係

木造アパートなどにみられる「長屋」は共同住宅ではないのでこの接道義務は適用されません。そのため接道が4m未満でもアパート経営は可能です。

■再建築可能にする方法

・境界塀を無くすorズラす

境界塀のせいで有効幅が2mを切ってしまっている場合は、境界塀を無くしたり、境界塀の位置を変えることで有効幅2mを確保できれば建築可能になります。

ただし境界塀にも所有権が存在し、
・隣地の所有
・こちらの所有
・隣地との共有塀
・境界線上にあるけど隣地の所有塀(orこちらの所有)
・こちらの敷地(or隣地)にあるけど隣地が所有(orこちらが所有)=越境している
など様々なため、塀の移設は簡単にできるとは限りません。

・隣地から敷地を買うor借りる

不足している間口分の土地を、隣地から購入したり借りたりすることも方法の一つです。

ただし、売ってくださいと言って「はい売ります」となることはほぼ無く、普通は門前払い、話を聞いてくれても条件が折り合わないと成就しないため、一個人がやるにはハードルが高いでしょう。

再建築不可の土地は圧倒的に割安になるので、将来的に隣地を買える見込みがあるのなら良い買い物に化ける可能性はありますが、プロ以外は手を出すべきではないです。

■まとめ

・測量図上の間口が2mあればクリア、ではない。

・接道義務の正しい解釈は「幅2mの物を宅地まで通せる」

・通路長さや建築物によって、接道義務が変わる条例がある。

・解決方法はあるけどハードルが高い

スポンサーリンク
役に立つ記事だと思われたらぜひシェアしてください!
筆者が運営するSNS/購読設定

コメント

  1. たかし より:

    初めまして。
    「通路部分に塀があって実際の有効幅が2mない」
    の箇所は実際に建築基準法で条文、令、附則、先例等があるのでしょうか?もしあるのならばご教示頂けたら幸いです。

    • M SmuUのM より:

      たかし様
      初めまして!ご質問ありがとうございます!
      回答内容をこちらにも転載させていただきます。

      ご質問の件について、関係法規に明記されているものは見当たりません。

      ただ、私が同条件の物件で、プランを依頼した設計士から「ダメかもしれない」と言われたことから役所と建築指導課の窓口にて事前確認したところ、緊急車両が入れないからダメだと見事に断られたという実績があります💧

      ちなみに5年ほど前のことで、場所は世田谷区、長屋を建築予定の案件でした。

      実際には特定行政庁や建築審査会が建築の可否を決めるため、地域や建築建物の用途や、変な話、その時の責任者によっても可否が分かれる可能性はあります。

      いずれにしてもそのような土地を検討されるなら、必ず事前に確認して、窓口担当者の名前を控えておくなどすることをお勧めします。

      我々仲介業者も、絶妙な案件の調査では必ず窓口の方のお名前を控えるようにしています!

      記事内で断言する文面になっているのはよくないと思いましたので、可能性があるという内容に変更させていただきます。

      • たかし より:

        SmuUのM様
        ご回答頂き誠にありがとうございます。
        窓口の方のお名前を控えるのは大事ですね。

        今後の参考にさせて頂きます。
        ありがとうございますm(_ _)m

タイトルとURLをコピーしました