相続の手順と相続税の申告・納税までの流れ

税金
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大相続時代とも呼ばれる現代日本において相続の相談は年々増えています。

相続税の軽減特例には期限が決められているものもあり、今後もより一層増えると見込まれる相続の流れを理解しておくことは、被相続人(故人)の財産を無駄にしないためにも必要になってくるかと思います。

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相続開始から申告、納税までの流れ

【用語説明】
・相続人
財産を相続する人

・被相続人
相続される人(故人)

・相続開始日
被相続人が死亡した日

・相続登記
相続した不動産を相続人の名義に変更する登記。

・遺産分割協議
遺言書がなく法定相続通りに相続を行わない場合に、法定相続人間で財産の分割について協議すること。

・遺産分割協議書
遺産分割協議の結果を証する書面で、相続人全員の署名と実印の押印により作成。(相続人の数だけ原本を作成)
相続不動産への相続登記には遺産分割協議書の原本の添付が必要。
弁護士、税理士、司法書士、行政書士のほか、自分でも作成可能。

相続が発生したらすぐに

●法定相続人の確定
●遺言書の有無の確認
●被相続人の財産と債務をまとめる
●遺産分割協議書の作成(遺言書がなく法定相続通りに分割を行わない場合)
※書式は決まっていませんが、相続人全員の署名と実印の押印が必要です。
弁護士、司法書士、税理士、行政書士に作成を依頼することもできますが、自身でも作成できます。

遺言書が故人の自筆によるものだった場合は、
すり替えや改竄される可能性があることから、例え相続人でも勝手に開封して内容を確認してはいけません!

勝手に開封した場合は5万円以下の過料を科されることがある他、大きな相続トラブルのきっかけにもなります。
必ず家庭裁判所に持ち込み開封をしてもらうようにしましょう。

相続開始の翌日から3ヵ月以内

相続放棄をするか限定承認をするか選択し、家庭裁判所に報告をする期限です。

売却不動産の相続人の一部が相続放棄をすれば、その者を除いた相続人が不動産の所有者として登記されることになります。

●相続放棄

被相続人の財産と債務(負債)の全てを相続しないこと。
財産よりも負債の方が大きい場合などに選択することが多い。

●限定承認

債務よりも財産が多い場合、相続財産の中から債務を清算し、プラスになる部分を相続すること。

相続開始の翌日から4ヵ月以内

相続人全員の義務である、準確定申告の期限です。

準確定申告とは、不相続人に不動産所得や事業所得があった場合、通常の確定申告と違い相続開始から4ヵ月以内に、相続人全員が共同で、被相続人の1月1日から亡くなった日までの所得税の確定申告を行うことです。

相続開始の翌日から10ヵ月以内

相続税の申告と現金納付の期限です。

相続税は原則として、申告と同時に現金で納付することが原則です。

この時までに遺産分割協議が整っていないと、物納や相続税の軽減特例が利用できないため、できればこの時までに遺産分割協議を完了させたいところです。

なお物納や延納の場合は、相続開始から10カ月以内に申請をし許可を受けなければいけません。

●10カ月以内に遺産分割協議が整わないと利用できなくなるもの。

物納

小規模宅地の軽減特例

土地の種類軽減限度面積評価額の軽減率
特定居住用宅地等330㎡80%
特定事業用宅地等400㎡80%
貸付事業用宅地等200㎡50%


配偶者の税額軽減の特例

配偶者は、相続財産が法定相続分か1億6,000万円のいずれか多い方の金額までは相続税がかからない特例。

相続税の軽減特例を使用したいけど期限までに遺産分割協議が整わない場合は、「申告期限後3年以内の分割見込み書」を提出することで、「申告期限から3年以内に遺産分割され、分割から4ヵ月以内に申告内容の更正」を行った場合には、軽減の特例を使えることになっています。

結果的に当初の納税額が多すぎた場合は、差分が還付されます。

相続開始の翌日から1年以内

遺留分の減殺請求の期限です。

遺言書によって、遺留分未満の財産しか相続できなかった一定範囲内の法定相続人は、遺留分を侵した相続人に対して「遺留分の範囲で財産の返還を請求」できます。

遺留分と遺留分侵害額請求についてはこちらをご覧ください▼

相続開始の翌日から3年10ヵ月以内

相続税・譲渡所得税の特例適用のために、相続税の申告内容の更正や手続きをする期限です。

・相続税の軽減特例は遺産分割協議が整っていることが適用条件になっています。

相続税の申告・納付期限である「相続開始の翌日から10ヵ月以内」に遺産分割協議が整わなかった場合は、その期限から3年以内に遺産分割協議を整えて申告の更正を行うことで軽減特例の適用が可能です。

・相続財産を譲渡した場合の相続税額の取得費加算の特例は、相続税の申告・納付期限から3年以内に譲渡が行われたときに限り有効になります。

相続登記の義務化が決定

実は昔から2022年現在まで、不動産への相続登記は任意になっていました。(ただし不動産を売却するためには相続登記が必要)

しかし、登記名義人である被相続人から不動産を相続した相続人が、登記をしないまま亡くなるなどし、不動産の所有者が分からなくなることも多く、以前から問題視されていました。

これを解決するために2024年4月1日より、不動産の相続人は不動産相続を知った日から3年以内に相続登記をすることが義務化されることになりました。

今後は売却をしない場合でも相続登記が必須になります。

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