ハザードマップ、どこまで気にするべき?

ノウハウ・豆知識
この記事は約5分で読めます。

1年間、毎週末のように土地の見学に行き、ハウスメーカーと打ち合わせをしながらようやく見つけた希望の物件だったけど、洪水ハザードマップの浸水予想区域にかかっていたから諦めた、、

なんて話、たまに聞きます。

一番ガッカリするのはお客様ですが、営業マンも人間ですから、長く連れ添ったお客様の落胆した姿を見ると心が痛みます。(先に説明しとけよとも思いますが、、)

2020年8月から、重要事項説明の際に、物件がハザードマップ上でどのエリアに属しているか説明することが義務付けられました。

ゲリラ豪雨が増え浸水被害が増えてきたことも背景にあり、お客様もハザードマップをとても気にされるようになりました。

では意思決定をするうえで、どれだけハザードマップを重要視すればよいのでしょうか?
ハザードマップ、特に浸水予想区域にかかっている物件はダメなんでしょうか?
価格に影響はあるのでしょうか?

スポンサーリンク

ハザードマップ(浸水予想区域図)の位置づけ

浸水区域予想図は、平成12年に東海地方で大きな被害をもたらした東海豪雨(時間最大雨量114mm 総雨量589mm)が降った場合を想定し、平成13年に作成され始めました。

その後平成27年の水防法改定により、東海豪雨よりも降雨量が大きい(より発生頻度が低い)、1,000年に一度の「想定し得る最大規模の降雨を想定したものへと変化しました。

  • 大雨時に危険な場所(浸水の予想される区域)
  • 危険の程度(想定される浸水深)
  • 避難場所、避難経路等の災害対応のための情報など

が記載されています。

ハザードマップの正確性

浸水予想図は、その地域の土地の成り立ちや災害の素因となる地形・地盤の特徴、過去の災害履歴、避難場所・避難経路などの防災地理情報を用いて作成されています。
※引用:国土地理院

ですが実際の浸水被害実績と照らし合わせると、必ず一致するわけではありません

それは浸水実績図を見ると明らかですし、大雨の時に実際に地域のパトロールをした実感でもあります。

浸水実績図との照合

自治体のホームページでは、過去の浸水被害実績を公表していて、いつ何番地のどんな家がどの程度浸水したかを誰でも確認することができます。

検討している物件と同じ番地で浸水履歴があったとしても、よく見たら半地下の戸建てや地下部分だった、なんてこともありますし、頻繁に浸水被害が起こっている(偏りがある)地域もあります。

どんな建物も築1,000年は超えていないでしょうから将来的には分かりませんが、浸水予想地域内の比較的新しい建物は、高基礎などで対策をしていることもあるので、ハザードマップだけで判断せず、浸水実績と物件周りに建っている実際の建物を見て総合的に判断する、予防することが大切だと思います。

どんな場所、建物が浸水しているか

実際に浸水した地域、建物を見ていると以下のような傾向が見えてきます。

  • 半地下もしくは地下室のある戸建て
  • 坂道の下の方(水が集まる)
  • 緑道沿い(もともと川なので低地なことが多い)
  • 排水能力が低い場所(改善工事が行われるケースもある)
  • 建物の基礎高が低い

半地下物件には雨水を外に排出するためのポンプが付いていますが、長期外出や停電によりブレーカーが落ちていてポンプが作動しなかったために浸水した可能性もあります。
半地下物件は浸水しないためにポンプを搭載しているわけですから、正しく作動すればそう簡単には浸水被害を受けることはありません。

仮に緑道沿いや低地でハザードマップの浸水予想エリアに入っていても、もし物件が少しでも坂道の途中に位置していれば、水は道路を伝ってもっと下に流れていくので、大雨が降っても浸水する可能性は低いでしょう。

逆にいくら高台でも、周辺道路の排水能力が低い場所ではよく冠水します。

市街化が進み、時とともに建物の数(世帯数)が増え、部分の割合が減った結果、雨水が土地に自然浸透する量が減り、側溝や雨水管がキャパオーバーになり冠水を起しやすくなっています。

これを防ぐために、雨水を宅地内へ自然浸透させる浸透マスを設置する費用を負担したり、宅地開発業者に設置を義務付けて、排水システムへの負担を減らそうとする自治体も多くなりました。

ハザードエリア内の物件の価値

過去に浸水被害があったり、ハザードエリア内に入っているだけで物件の価格が直接的に下がるわけではありません

ただし、そのことを知った買主が購入をためらったり見送る=売りづらくなることは考えられるので、状況を見ながら価格を下げないと売れない、という可能性はあります。

前述の通り、ハザードマップ内だから将来必ず被害を被るわけではなく、家の作りや前面道路の排水能力、傾斜地の途中にあるなど地勢にも左右されるので、物件の価値は総合的に評価されるでしょう。

水害を避ける家づくり

これまでお話ししたように、どんな立地でも浸水する可能性はゼロじゃありません。

物件がリスクの高いエリアにあるのであればより一層ですが、水害を予防したり軽減するための対策を考えていきたいところです。

  • 高基礎にする。
    建築基準法上の基礎高は30cm以上と規定されていますが、浸水予想深さに合わせて高くすることで、建築予算が少し上がりますが、家屋への浸水リスクは大きく下がるでしょう。
    実際、緑道沿いなどに建つ比較的新しい家は高基礎になっていることが多いです。
  • 室外機などを地面置きしない。
    道路とほぼ同じ高さに室外機を置いていると冠水時に故障の原因になります。
    ラックを使い一段高い場所に設置するようにするなどの工夫も有効です。
  • できるだけ半地下にしない
    排水ポンプがあるとは言え、もしも故障していて作動しなかったら、、と思ってしまうなら半地下になってしまう物件を避けましょう。
    おそらくこの場合は理屈じゃない部分が大きいと思います。

ハウスメーカーは事前にハザードマップや浸水実績を確認するので、黙っていても高基礎などの提案をしてくれることもありますが、心配であれば自分から担当者に相談してみましょう。

上記のような対策をしておけばハザードエリア内でも気に入った土地を諦めなくてすむかもしれません。

まとめ

・ハザードエリア内外に関わらず、水害実績も参考にしてください。

・対策をすることで安心して住めるかを検討しましょう。

・1,000年に一度の豪雨のリスクをどこまで気にするかは人次第ですが、気にし過ぎると”買えないスパイラル”に入ってしまう危険があります。

スポンサーリンク
役に立つ記事だと思われたらぜひシェアしてください!
筆者が運営するSNS/購読設定

コメント

タイトルとURLをコピーしました