仲介手数料”3%”は高い?妥当性について考えてみる

ノウハウ・豆知識
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「仲介手数料は3%+6万円です」
の、3%ってどこから来てるんだろうと考えたことはありますか?

1,000万円の不動産だと36万円、1億円の物件だと306万円になる仲介手数料ですが、
実務的に仲介業者がやっていることはどちらもほぼ同じ。

だったら1億円の物件でも仲介手数料36万円でやれよ!

という考えも理屈として理解できます。

今回は仲介業という立場ではなく、第三者的にこの3%の妥当性について考察します。

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どうして3%になった?

もともと地域によってバラバラに設定されていた仲介手数料率を、
昭和45年に全国で一律にしようとする流れの中で、一番手数料が高かった東京の「3%」を基準にすることになったそうです。
テナント料や物価が高い東京の手数料を下げてしまうと、不動産業者がやっていけないと判断したのかもしれません。

3%がかかるのは売買代金で400万円を超えた部分です。
残念ながらこの数字の明確な根拠は不明ですが、200万円以下の不動産では5%、200~400万円までは4%となっているので、段階的に下げた結果の3%ではないでしょうか。

手数料率の妥当性と経営的な視点

冒頭の通り、200万円の物件の契約でも1億円の物件の契約でも、物件の状況(測量が必要、相続絡みの売却など)や不動産業者の立ち位置(売主側、買主側)が同じだとすれば、
不動産業者の実務的な手間はどちらも一緒です。

仮に200万円の物件の売却担当者として稼働することになった場合、
売主様と何度か打合せをし、
役所調査をし、
広告用の写真を撮り、
販売図面を作成し、
案内時の立会いをし、
申し込みが入れば交渉をし、
契約書を作成して契約当日は重要事項説明を行い、
大量の関係書類を複数部プリントアウトし、
引き渡しに必要な業務を関係各所と調整しつつ進めて、
仲介手数料を10万円頂戴する。

と、まともにやると大赤字です。

もちろんあまり手間がかからずに引き渡しまで進むこともありますが、
それでも右から左で簡単に終わらせても10万円というのはビジネスとして成り立つか成り立たないかのグレーラインですから、
下限が5%というのは文句ないかなと思います。

なのでそこから段階的に下げた結果の3%というのは何となくしっくりくるかなというのが感想です。

経営コストと手数料額

仲介業の難しいところは、成功報酬だということです。

物件を預かったところで売りやめになったり、他の仲介業者に切り替えられたりすればこれまでの営業活動は一銭にもなりません。

買主側仲介も同様、集客した10組のお客さんのうち最終的に3組契約になればトップセールスになれると言われる中、2年3年と案内を重ねたお客さんが、事情が変わって購入を諦めたり、他の仲介業者の紹介で購入したりすることは日常茶飯事です。

結果的に取引が成立しなくても、
従業員の給料、社会保険、厚生年金、通信費、事務所費、設備のリース費、車両維持費、広告費などは発生しているので、
時間をかければかけるほど赤字が膨らむ、それが不動産仲介業です。

お客さんの目線では、問い合わせて案内してもらって交渉して契約するだけで、5,000万円の契約に150万円の仲介手数料を払うのは高い!と感じることもありますが、
仲介会社の経営コストをお客さんで”ならす”と、仲介手数料の金額に妥当性が出てくるように思います。

仲介業のリスク

仲介業者は仲介をした物件に対して責任を負います。

そのため仮に業者の調査不足や説明不足などが原因で取引関係者に損害を与えてしまった場合、損害賠償請求を受けるリスクがあります。

一般的に考えると、1,000万円の物件を仲介した場合に予想される損害賠償額と1億円の物件を仲介した場合のそれとでは、1億円の物件の方が損害賠償額は大きくなることが予想されますし、下手をすれば数千万円の損害額になる可能性も考えられます。

仲介業者は保証協会に加入してある程度の損害賠償請求には耐えられるようにしてありますが、確率で起こってしまう事故に対応するためには、ある程度の資金を蓄えておく必要があるので、仲介手数料が売買代金に比例するのもうなずけます。

大きなリスクに備えるには大きな掛け金が必要。
保険に近い考え方かもしれません。

ただし個人的には、仲介業者がプロとして安全な取引を提供すれば済む話ではあるのと、ほぼ手間のかからなかった出会いがしらの大型契約で数百、数千万円の手数料をいただくのは流石にどうかなと思うこともあります。

そういう時にはそれだけの価値がある完璧で行き届いた仕事をしようとめちゃくちゃ動くわけですが、
明確な価値基準がない世界で、お客様に胸を張って「数百万円の価値のある仕事をしました!」と言うのは簡単なことではないというのが実感です。

まとめ

仲介手数料については、お客さんと業者では感じ方が違うものだと改めて感じました。

お客さんの立場では仲介手数料分のキッチリとした仕事を要求すべきですし、
仲介業者は3%いただくことを当たり前と思わず、その金額の重さを感じて最大限の価値を提供するためには何が必要か考えて行動することを忘れてはいけません。

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