注文住宅を建てるには結局いくら必要?|本体以外に数百万円?

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SNSの普及に伴って、こだわりの注文住宅を世界に公開する人が増えてきました。

ハウスメーカーも”しのぎ”を削って安さや性能をアピールしていますが、
よく見る「坪単価~万円!」という宣伝文句を鵜呑みにするのは危険です。

実はこれは標準仕様建物本体のみの価格を指していることがほとんどです。

この記事を読むと、
・注文住宅の本当の建築費用が分かります。
・何にどんなお金がかかるか分かります。

土地探しから注文住宅建築の一連の流れについてはこちらをご覧ください▼

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■坪単価~万円とは?

不動産業界と建築業界では、価格決定や高い安いの判断をよく坪単価で考えます。

例えば建物の予算の考え方として、延床面積100㎡(約30坪)の建物を建てたいとき、Aハウスは木造で坪単価70万円だから2,100万円、高級なBハウスは坪単価100万円だから3,000万円くらいだな、という具合に考えます。

しかしこれはあくまで建物本体の価格

それ以外の費用は土地の状況や施主(お客様)の希望によって大きく変わってくるため、メーカー側も、全部完成させるのに坪単価~万円!と言えないのです。

■こんな費用が必要

・消費税

坪単価~万円!という本体価格には、消費税が含まれていないことがほとんどです。

建物本体価格が2,000万円なら、消費税を入れた時点で+200万円になるわけですから、かなり大きいですよね。

・外構工事

境界塀、門扉、庭、家の周りの地面の工事費用です。

特にこだわりがなければ、道路から建物までのアプローチや駐車場部分にコンクリートを流し込んで、地域の緑化規定に適合するように植栽を施し、土地境界と建物の間に防犯砂利を敷き詰める程度ですが、それでも土地30坪程度で最低100万円は見込んでおきたいです。

こだわった庭作りのために造園業者を入れればそれ以上ですし、土地が広くなれば当然その分費用も増えます。

逆に複数区画の分譲地などで隣地も同時期に建てるような場合、ハウスメーカーの担当者を介して隣同士で協議し、境界塀を共有(費用折半)で作ることになれば、当初の見込みよりも安く済むこともあります。

ハウスメーカーに建築の話を持ち込んだ時点で、外構費用について相談しておくようにしましょう。

・インフラの引き込み

土地の前面道路を剥がして、道路地下を通っている本管から宅地内に上下水道管などのインフラ設備を引き込む費用がかかる場合があります。

もともと建物が建っていた土地に新しく建築する場合は、昔の管を再利用できることも多いですが、
大きな建物を解体して土地を分割して購入した場合(引き込みされている区画は1つだけになる)
もともと畑や山林だった場合
引き込み管が老朽化している場合
などでは、インフラの宅内引き込み費用や管の交換費用がかかります。

例えば東京ガスではガス管の新規引き込み費用を負担してくれますが、これはガス会社によります

一般家庭用の上下水道の新規引き込みは、引き込み距離1m単位(約2万円/m)で費用が変動しますが、水道局への加入金や各種申請費用等を入れて30万円~50万円程度になることが多いようです。

一般家庭よりも大口径の水道管が必要な二世帯住宅共同住宅などでは費用が増えますし、道路から建物までの距離が数十メートル離れているような敷地延長の土地では引き込み費用が100万円以上かかることもあります。

土地売買契約時の重要事項説明でインフラ設備の引き込み有無も説明されますが、それよりも前の段階で不動産屋やハウスメーカーの担当者に確認しておきましょう。

ただし不動産屋も穴を掘って確認することはできないので、再利用可否について明確に回答することが難しい場合もあります。

・地盤改良

『一般的に地盤が固い』とされている地域は確かにありますが、それでも地盤調査を依頼してみたら所々弱いポイントがあって改良が必要、などということは日常茶飯事です。

また地盤改良の要否と程度は、建物の配置や重量、各ハウスメーカーの基準(ポリシー)によっても左右されるため、一律の判断基準がありません。
※鉄筋コンクリート造や3階建て戸建ては接地面積当たりの重量が重いので、ほぼ100%地盤改良が必要です。

一般的な規模の戸建てであれば、
土を固化材で固める表層改良30~50万円程度、
柱状改良~100万円程度になることが多いです。

・オプション工事、グレードアップ

「本体価格坪~万円」というのは、あくまでもそのメーカーのそのシリーズの戸建ての標準仕様の場合です。

キッチンや洗面、蛇口、ドア、ドアノブ、照明、造作家具、ロフトなどをグレードアップしていくと、すぐに+100万円200万円になります。

そして、住宅展示場やモデルルームに使われている設備の多くはアップグレードされた物です。

中には標準仕様の物を多く使っている親切(?)なモデルハウスもありますが、
お客様が「このキッチンいいですね!」と言ったら営業マンが
いいですよね!オプションで+50万円くらいです!」という会話は何度も聞いてきました。

注文住宅の”標準仕様”は一般的な賃貸住宅などと比べると決して悪い物ではないので、「全然これでいいよね」となることも多いのですが、そのハウスメーカーの標準仕様がどの程度のグレードなのかは、実物を見せてもらって確認するようにしましょう。

・擁壁(土地の高低差)

高低差のある土地では土の流出を防ぐために土留め(ドドメ)を作らないといけません。

また、隣地との高低差が2mや3m以上だと「がけ条例」という安全条例により、5mを超えると土砂災害防止法などにより、地震が起こっても土砂が流出したり建物が崩れたりしないように、建築確認を取った擁壁を設ける必要があります。

がけ条例は比較的新しい概念であることから、既存の擁壁が建築確認を取っていないなど要件を満たさないことがよくあり、擁壁をやり替えるとなると数百万円規模の費用が発生します。

崖が崩れても建物が倒れないように杭を地中深くまで打ち込むことで擁壁のやり替え工事を回避することができる場合もありますが、いずれにしても通常の建築よりも費用が大幅に高くなるので、高低差のある土地で擁壁が古い土地を検討する場合は、事前に不動産屋やハウスメーカーに確認することが必須です。

・3階建てにする

3階建てになると建築確認申請時に構造計算書の提出が必須になり、2階建てよりも建物の強度にシビアになることから、坪単価5~10万円程度高くなります。

同じ延床面積30坪の戸建てでも、2階建てと3階建てでは150~300万円も差が出ることになります。

・準耐火、耐火構造にする

同じ木造でも、非耐火構造(H構造)から準耐火構造(T構造)へのアップグレードをすることで、坪単価5,000~7,000円程度コストが増えます。

商業地や大通り沿いなどの【防火】、市街化された住宅街などの【準防火】、風致地区や地方に多い【防火指定なし】など、地域によって建物の防火性能の指定がされており、建物はその防火指定に適合する耐火性を持っていないといけません。

一般的な準防火地域の住宅街に戸建てを建てる場合、必ず準耐火構造(T構造)の木造にしないといけないわけではなく、もっと耐火性能の低い非耐火構造(H構造)でも建てることができます。

準耐火準防火は似ていますが意味が違います。

しかし、準耐火構造にすることで火災保険料が大幅に安くなったり
準防火地域で準耐火建築物もしくは耐火建築物(鉄筋コンクリート)を建築する場合は、建ぺい率の上限を+10%できるという緩和処置が新設されたことから、防火指定のない地域でも準耐火構造で一戸建てを建築することが多くなりました。

延床面積30坪の戸建てで20万円前後変わりますが、その分狭い土地でも希望の床面積が建てられることや、火災保険料が大幅に安くなることから、準耐火建築にした方が結果的にプラスになることが多いです。

▼詳しくはこちらの記事もご覧ください▼

・建築請負契約書の収入印紙

細かいですが、建築請負契約書も売買契約書と同じく課税文書に該当するので、請負額に応じた収入印紙が必要です。

請負金額1,000万円超~5,000万円:1万円
5,000万円超~1億円:3万円

・登記費用(場合による)

建物を新築したときには、登記簿上で「こういう建物ができて所有者は私です」ということを示すために、「表示登記」「保存登記」という登記手続きが必要になります。

通常は司法書士に委任することが多く、建物の規模にもよりますが、費用は10万円~15万円程度が目安です。

筆者の場合は土地を仲介するとき、土地の登記費用の項目に建物の「表示と保存登記費用」を概算で見積もって諸費用計算書をお渡ししますが、中には建物の登記費用を計上しない業者もいますし、建て替えの場合は諸費用の見積もりはハウスメーカー任せになります。

いずれの場合も、建物の登記費用が見積もりに計上されていることを確認しましょう。

■結論

坪単価~万円!という本体価格の他にも、

・消費税:工事費用の10%→+200万円程度~
・外構工事:100万円程度
・インフラの新規引き込み:30~50万円程度(最悪100万円超)
・地盤改良:30~50万円、柱状改良なら~100万円程度
・アップグレード:青天井
・3階建て:150~300万円程度
・耐火構造:20万円程度
・擁壁や土留め:数十~最悪数百万円
・登記費用と収入印紙:15万円程度

このような付帯費用が発生することがあります。

都市部の住宅街に多い、準防火地域+標準仕様の100㎡の3階建て+地盤表層改良+インフラ引き込み済み、という条件でも、税抜き本体価格にプラス500万円~650万円ほど発生する計算です。

ハウスメーカーには予算感をしっかりと伝えて、土地を決定する際に最終相談ができるようにしておくことが大切です。

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