不動産が相続対策に向いている理由?マンションと戸建て、どちらが節税できる?

税金
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大相続時代を控えた日本で、特に都心部のタワーマンションが売れている、というニュースを見たことがある人もいるかもしれません。

タワーマンションに限らず不動産は相続対策として優秀なため、余った現金資産を不動産に変えて保有するという考えは今後も変わらないでしょう。

この記事を読むと
①不動産が相続税対策として優秀な理由が分かります。
②実際にどれくらいの相続税圧縮効果があるのか分かります。
③土地戸建てとマンションのどちらが相続税対策に効果が高いかが分かります。

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■相続対策に有効な理由

現金を相続する場合は、現金100万円は価値100万円としてそのまま相続税の計算に組み込まれることになります。当然ですね。

一方不動産の場合、価値は「固定資産税評価額」(建物)と「路線価」(土地)というものから計算されて合算されることになっています。

不動産には4つの価値設定があり、この路線価や固定資産税評価額というのは、実際に売買されている市場価格よりも約3~5割も安く設定されていることがほとんどです。
(詳細:記事「一物四価」)

つまり、実際に売れば100万円になる不動産でも、相続税の課税対象になる計算上の価値は50万円~70万円程度になるということです。

さらに、もともと相続には「配偶者控除」を始めとした相続税の軽減特例が多数用意されていますが、不動産を相続したり、相続した不動産を売却して現金化する場合にはそれらの特例に加えて「空き家の3,000万円特別控除」や「小規模宅地等の特例」などの大幅な税優遇が用意されています。

このようなことから、保有資産が大きければ大きいほど、現金を超低金利の銀行で眠らせておくくらいなら、価値が大きく下がる可能性が低い地域で不動産を所有しておいた方がずっといい。
となるわけです。

・実際の効果はどれくらい?

相続税は以下のような累進課税制です。

相続で受け取った金額税率控除額
1,000万円以下10%無し
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円
相続資産額と税率の表

簡単のため相続人の人数や特例等を織り込まずに考えます。

仮に資産3,000万円を相続する場合、
・現金→ 相続税=400万円
・不動産(相続税評価額は市場価格の6割として)→ 相続税=220万円

不動産の形で相続する方が、相続税が180万円も安くなりました。

この差は資産が増えるほど大きくなっていき、資産1億円の相続では1,200万円もの差になる計算です。

・土地戸建てvsマンション どちらが効果が高いか

マンションと戸建て、相続税対策ではどちらが有利?

土地戸建てもマンションも、路線価から算出した土地の評価額と、建物の固定資産税評価額の合計で相続不動産の価値を計算するのに変わりはありません。

しかし大きく違うのは土地の持ち分です。

2階建て100㎡の一戸建てを建ぺい率50%の土地に建てている場合、敷地面積は最低でも100㎡以上あることになります。

しかし床面積100㎡のマンションだとどうでしょう。

マンションでは、マンションの敷地面積を部屋の専有面積で按分した持分を各所有者が持つため、一戸当たりの土地の持分は敷地全体の数%にも満たないことがほとんどです。

タワーマンションのように住戸数の多いマンションでは持ち分割合はより小さくなり、専有面積100㎡の住戸の土地持ち分が十数㎡、ということもあります

そうすると同じ床面積の戸建てと比べて相続する土地の面積は10分の1程度にまで小さくなるわけですから、相続対策としての不動産購入ではマンションの方が大幅有利と言えます。

流行した【タワマン節税】

2010年代に相続税対策としてタワマン節税が流行ったことを受けて、2017年に、階層が上がるごとに固定資産税評価額を上げる旨の法改正がありました。

しかし現時点では相続税評価額への影響がないことからも、マンションやタワマンによる相続税対策は引き続き有効と言えます。

※追記:政府がタワマン節税を封じるためにマンションの相続税評価額の算定方法の変更に向けて動くことがほぼ確定し、早ければ2024年1月から新算定方式が採用される可能性があります。

※相続対策での購入では、所有者の居住実態がなかったり第三者へ賃貸していることも多く、議決権を持っている所有者が管理組合の会議や投票に参加せず、マンションの健全な管理に悪影響を及ぼす可能性があることが問題視されています。

■おまけ:不動産を共有で相続させるリスク

相続対策で優秀な不動産ですが、不動産を相続後にどうするかは、資産の割り振りを含めて、できれば相続発生前に家族間で大筋を決めておきたいところです。

一つの不動産を複数の相続人に相続させる場合、その不動産の売却時の売主(=意思決定権者)も当然複数になるわけですから、全員の足並みが揃えられていないと話がまとまらずに売却活動が困難を極め、それが原因で仲の良かった親族がお互いを訴え合うということも決して少なくありません。

全てを事前に決めることは難しいかもしれませんが、共有者の中から相続人の間で音頭を取る代表者を決めておくだけでもずっとスムーズに話が進むこともあります。

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